▽ATM振替、一日の限度額5万元に
中国人民銀行、中国銀行業監督管理委員会、公安部、国家工商行政管理総局はこのほど、共同で「銀行カードの安全管理および銀行カード犯罪の予防・取り締まりの強化に関する通知」を発表した。
同通知は、個人が正当な理由なく他人に代わってカードを作成することを禁止するよう求め、数々の規制を行っている。銀行に大量の口座を開いている、または既にカードを作っているカード所有者が新たにカード作成を申請した場合、審査を厳格にし、リスク防止を強化するとしている。
また同通知は、カード所有者が自ら申請したことを書面で確認できない場合、カード発行機関はカード所有者に対し電話での振替、現金自動預払機(ATM)での振替、インターネットを利用した振替などの自動振替業務を行わないとしている。カード所有者が電話やATMでの自動振替を行う場合、一日の取り扱い限度額を5万元(約75万円)とする。
ネット振替ではデジタル証書、電子署名などの認証方式を採用することを義務付け、認証が得られない場合は1件当たりの振替金額を最高1000元とし、一日の累計振替金額を5000元としている。
▽中国の電子商取引、総額3兆元突破
2008年の中国内の電子商取引は総額3兆元を突破し、前年比40%以上増加したという。
2003年に発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)が電子商取引産業に発展チャンスをもたらしたように、金融危機も貴重な発展チャンスをもたらしており、2008年の国内の電子商取引は総額3兆1千億元、前年比43%増加している。
電子商取引を取り入れた中小企業の経営状況は伝統的な経営スタイルの企業よりはるかに好調だという。ある統計資料によると、金融危機のさなかにあって経営困難に陥る割合は、電子商取引を採用していない企業が84.2%、採用した企業は16.8%で、両者の間には5倍近い開きがあるという。
一方、物流業は電子商取引産業のようには発展しておらず、昨年の国内の物流総額は89兆9千億元で、前年比19.5%増加したが、増加率は一昨年に比べて6.7ポイント低下している。その主な原因は、中国の物流業は伝統的なスタイルを中心にしているからで、現代型物流業を発展させるにはなお大きな推進力が必要だとされている。
▽中国3G携帯技術、日中協力に合意
中国を訪れた鳩山総務相は5月5日、中国の李毅中・工業情報相と会談し、携帯電話など通信分野での技術協力強化の合意文書に調印した。中国でもサービスが始まった第三世代(3G)携帯電話での情報配信などで共同研究を進め、さらに通信が高速な第三・九世代の技術開発でも協力する。
携帯を通じた動画、ゲームの配信や電子決済など、日本で成功した「iモード」のようなサービスを、中国の3G携帯でも提供できるよう研究を進めることが目的だ。中国の通信事業者、日本の研究機関、情報配信事業者の3団体が、近く共同で「日中モバイルブロードバンド合作推進会」を設立する。
中国の携帯加入件数は2008年末で約6億4千万件と世界最大。2Gで日中が異なる規格を採用し、日本企業の中国展開が遅れた反省をふまえ、早い段階から政府主導で技術協力を進める。
※この記事は内田総研グループ発行のメールマガジン『士業・net』の一部を加筆・修正し、許可を得て転載しています。
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