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草食系と小バカにするな、企業でも存在価値あり生き残れない経営(1/3 ページ)

ちまたでは「草食系男子」なる言葉が飛び交っている。若手社員を中心に企業にもそうした人材が増えていると聞く。軽視されがちな彼らだが、そうかといって「肉食系」ばかりを重用すると大変な事態に陥るのだ。

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 「草食系」という表現がはやっている。一部には「女が狙うべきは、草食系男子」などと評価して議論する者もいるが、おおむね彼らを積極的に褒めた論調ではない。今回は、草食系を肯定して論を進めていきたい。企業に巣食う草食系を軽視して「肉食系」を重用し過ぎると企業を危うくするのだ。

 Wikipediaによると、「草食系男子」とは 2006年11月にコラムニスト・深澤真紀のWeb連載で「草食系男子」として命名され、2008年ごろからメディアで取り上げられるようになった、20代男性の傾向である。2008年7月には森岡正博著「草食系男子の恋愛学」が刊行されて注目を浴びた。深澤は「恋愛やセックスに積極的ではない、肉欲に淡々とした草食男子」と定義し、森岡は「新世代の優しい男性のことで、異性をがつがつと求める肉食系ではない。異性と肩を並べてやさしく草を食べることを願う」と少し拡大定義する。

 今では、「車も買わず海外旅行にも行かず、高級ブランドにも興味がない。草食化する若者は『所有』や『消費』の意味を根底から揺さぶる。草食のフロンティアは広がる」(日本経済新聞 2009年1月6日付)と引用されるまで、草食系は広義に使われている。

草食系は昔から存在していた

 実は何も今さら騒ぎ立てることもない。草食系は昔から存在した。恋愛やセックスに淡白で、女性と肩を並べて草を食む男なんて何十年も昔からしばしば見掛けたものだ。海外旅行もしなければ車も持たない。高級ブランドなんてまったく関心がない。酒も好まない。寮の部屋か自宅にこもって、お茶菓子を食べたり、コーヒーをすすったりして、大したことのない趣味に浸っている。職場でも地位や収入にあまりこだわらない。与えられた仕事をただ淡々とこなす。現在指摘されているような草食系は、とうの昔から存在していた。

 彼らは人生に消極的だととらえられる傾向にある。「人生に前向きに、もっと積極的に生きろよ」、「仕事にもっと貪欲になって、課題に果敢に挑戦せよ」、「地位が上がった方が仕事が面白いだろうに」――。どちらかというと肉食系だった筆者は、いわゆる草食系の同僚や部下、時には上司を見ては、いらだったことがある。

 しかしよく考えると、彼らの存在をやゆしたり、否定的にとらえたりすることもない。彼らには彼らの存在価値があるのだ。広義の草食系という意味で、草食系新入社員、企業に巣食う草食系、供給と需要面での草食系の3視点から検討しよう。

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