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草食系と小バカにするな、企業でも存在価値あり生き残れない経営(2/3 ページ)

ちまたでは「草食系男子」なる言葉が飛び交っている。若手社員を中心に企業にもそうした人材が増えていると聞く。軽視されがちな彼らだが、そうかといって「肉食系」ばかりを重用すると大変な事態に陥るのだ。

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草食系社員は変身する

 10年ほど前、筆者が新入社員数十人を対象に訓示したときのことだ。一方的な訓話を嫌う筆者は、新入社員と対話をしながら進めた。「目下最も関心を持っていることは何ですか」との筆者の問い掛けに、男女3人が言葉を発せなかった。リラックスさせてしゃべらせようと、そして周囲の新入社員からもアドバイスがあったのに、彼らは遂に一言も発しなかった。「なぜあんなやつらを採用したんだ」と筆者は人事部門を責めたものだ。彼らのその後の勤務状況について関係者から聞くと、いわゆる草食系だった。

 ところが、である。10年経った今、1人の女子社員は結婚してもまだ勤めており、ベテランSEとして欠くことのできない人材に育っている。1人の男子社員は営業部門の係長になって肉食系に変身し、もう1人の男子社員は、目立たないがプログラマーとして堅実に業務をこなしているという。訓話した当時、彼らにアドバイスしていた利発な女性は、1年も経たずに辞めていった。

 営業部門で肉食系に変身した男子社員は、上司がその可能性を最初から見抜いていた。男子社員は人生を達観していてすべてに興味を示さない雰囲気はあったが、理屈に合わないことには反論したり不機嫌になったりする様子を見せた。上司は彼を頭が良く理解の早い男で、鍛えれば変身すると読んだ。上司は、社外の営業研修へ参加させたり、常にテーマを与えたりしながら、目を掛けられているという意識を植え付けた。数年後には量販店に放り出し、4年間徹底して売り子の実習をさせた。男子社員は見事に肉食系に変身した。

 草食系は、育てる余地、育つ可能性を充分に備えている。どう育てるかは、預かった管理者の力量次第だ。彼らは変身できるし、着実に業務を支えてくれる。

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