内山悟志の「IT人材育成物語」
【第5話】目線を高く(1/2 ページ)
内山悟志の「IT人材育成物語」 前回までのあらすじ
「ブレインストーミングには書記役が必要だが、それは僕がやろう」と言いながら川口はホワイトボードの前に立った。
「どんなテーマでもいいのですか」男性社会の典型例のような情報システム部の中で、数少ない女性ながら活発で何事にも物怖じしない奥山が、いつものようにはきはきとした口調で聞いた。
「もちろん、どんなテーマでも構わない。しかしせっかく検討するのだから、できれば自分たちの部門の仕事に役立つテーマの方が望ましいな」。あまり枠を設けない方がブレインストーミングの主旨に適っているとは思いつつも、多少の方向性は示してやらないと話が進みにくいと川口は思った。
目の前の問題
「それでは、『情報システム部はなぜ残業が多いのか』というのはどうでしょう」。奥山が切り返すように1つ目のアイデアを出した。矢継ぎ早に「どうして情報システム部には女性が少ないのか」と続けた。
万事慎重だがいつも確実な仕事ぶりの宮下がようやく口を開いて「なぜシステム開発の品質が上がらないのか」という意見を出した。その後、二人が日ごろから問題だと思っているテーマが次々と出され、川口はその要点を整理しながら記録していった。
- 情報システム部はなぜ残業が多いのか
- どうして情報システム部には女性が少ないのか
- なぜシステム開発の品質が上がらないのか
- システムトラブルを減らすにはどうすれば良いか
- ヘルプデスクにつまらない質問が来ないようにするにはどうすれば良いか
- どうしたら仕事の効率が上がるのか
- なぜソフトウェアには必ずバグがあるのか
- なぜ開発プロジェクトはいつも遅延するのか
川口は、次々と出されるアイデアを黙って書き記しながら、二人の発言が少しとどこおるころ合いを見計らっていた。出てくる内容は確かに情報システム部の現場で働く彼らにとっては気になることだろうし、検討の余地があるものもあった。しかし、列挙されたテーマはいずれも目の前の問題ばかりだった。
そう感じた川口は、さらに少しだけテーマの方向性を示そうと「もう少し目線を高くしてごらん」と投げ掛けた。すると2人は、キョトンとした表情で顔を上げ、会議室の天井に目をやった。
「おいおい、そういう意味じゃないよ」
3人から一斉に笑いが起こった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「昆虫サイボーグ」で災害現地の行方不明者ゼロに挑む
-
2
「現実にCtrl+Zはない」──フィジカルAI時代に企業が備えるべき新役務「AIスチュワード」とは
-
3
第2回 ドラッカー「上司の仕事は部下がやりやすくすること、部下の仕事は上司がやりやすくすること」
-
4
フィジカルAI実用化の壁をどう越えるか──経産省・PFNらが語る、"5~8桁足りない"学習データの現在地
-
5
「大企業は一朝一夕には変わらない」 NTTデータ冨安寛氏がAI時代に重視する原理原則
-
6
初心者向けの料理教室、男性受講生が過半数に 家庭での調理頻度も増加
-
7
出世する人としない人の差は、微差であり、その微差こそが大差になる
-
8
なぜ答えが揺れ、堂々と間違えるのか ―― 確率で動く生成AIの正体
-
9
第55回:「誰が言ったか」で判断していないか──SNS時代、エグゼクティブに必要な「空気に逆らう力」
-
10
50代で退職したらどうなる? 辞めてはいけない4タイプ
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー