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【最終回】チーム型マネジメントの実践日本流「チーム型マネジメント」(2/3 ページ)

真のグローバル企業になるため、日本企業が目指すチーム型マネジメントについて述べてきた。最終回では具体的な実践方法に迫る。

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ステップ2:あるべきチーム型マネジメント像の策定

 現状の課題を押さえた上で、チーム型マネジメントの目的と選択理由、期待する成果と具体的行動を構想する。チーム型マネジメントシステムでは、自社がとるべき参加型意思決定の仕方、メンバーやリーダーの行動を規範するものでなければならない。組織文化やメンバーの価値観とのバランスにも注意したい。下図に留意点をまとめる。

チーム型マネジメントシステムのShould、Should Not
チーム型マネジメントシステムのShould、Should Not

 チーム型マネジメントシステムでは、意思決定のプロセスにメンバーを参加させることで、徹底した権限委譲を実現する。このプロセスには部署や部門の目標、価値観、そして経営情報までもチームで共有することが前提条件となる。行動や成果の評価は、個人ではなくチーム単位とする。これらの原則を部門ごとの行動規範やルールとして具体化し、チーム型マネジメントとして組織文化やリーダーシップとバランスをとりたい。最終的には明文化されたルールや行動規範がアウトプットとなる。

 現実的には現地のキーパーソンやオピニオンリーダーとともに討議することで、あるべきチーム型マネジメント像を構想することを勧めする。経営陣がトップダウンで決めるのではなく、マネジャーやメンバーが自らの意思決定で参加、合意することが基本である。策定にあたり外部コンサルタントや識者をファシリテーターとして迎え、さまざまな意見調整をしてもらうのも効果がある。

 あるべきチーム型マネジメント像の策定は、現地人材やメンバーへの論理的コミュニケーション力の強化研修とも内容を調整すべきである。研修ではあるべきチーム型マネジメントシステムを討議することで、チーム型マネジメント導入における実現可能性や潜在的障害も見極めることができる。

ステップ3:チーム型マネジメントの導入(範囲・方法の決定)

 実現可能なチーム型マネジメント像が決まれば、次に導入する範囲と方法を決める。トライアルとしていくつかの海外現地法人、または部門や部署を選択し、チーム型マネジメントを掲げてマネジャーやメンバーと討議することを勧めする。導入範囲としては、マネジメントシステムのみならず組織文化やリーダーシップへの展開も含まれる。海外現地法人や部門ごとの課題により、導入にかかる時間や方法が異なる。まずは導入しやすいところから実施するのも選択肢の一つである。

 マネジャーやメンバーとの討議の中では、マネジメントシステムの内容を語り、今後どのように実践していくか、具体的に推奨すべき行動などについて合意を得る。チーム型マネジメントの実践が評価につながることを示し、期待する行動と評価に一貫性を持たせたい。報酬制度も個人単位からチーム単位に変更するなど、チーム型マネジメントを反映させていく。

 決してトップダウンでチーム型マネジメントを現地社員に押し付けてはならない。米国の実業家、デール・カーネギーは「人に自分の意見を押し付けるのはそもそも間違いであり、(中略)結論は相手に出させるほうがよほど利口だ」と述べた。これはチーム型マネジメントの真髄にもつながる名言である。

 このステップでも、論理的コミュニケーション力を強化する研修と調整をし、研修を導入の一部として活用したい。討議の形態はワークショップ形式が好ましい。海外現地法人が考えるべきチーム型マネジメントについて活発な討議を促し参加者に結論を出させる。各自が考えるチーム型マネジメント像と実践するための具体的行動までを共有することが重要だ。

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