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台頭する中国のエリート世代、そのとき日本は「世界一蹴の旅」からすべて教わった(1/2 ページ)

急激な経済成長を遂げた中国では、富裕層が増加し、彼らの子どもで英才教育を受けた80后、90后と呼ばれる若者がビジネス社会に進出してきている。それに対して、日本の若年世代は……?

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 米国系コンサルティング会社時代に働いていた街、上海へ戻ってきた。FIFAワールドカップ・南アフリカ大会に出場する32カ国を巡る「世界一蹴の旅」とは直接関係のない国だが、世界を周る上でBRICsの急先鋒である中国を外すわけにはいかなかった。

 中国には北京から入国した。昨年の北京オリンピックのために建設された首都国際空港第3ターミナルへ到着。僕が初めて北京を訪れた1996年当時と比べて同じ国とは思えないほど超近代的な建物となっている。日本のどの空港よりも新しく、広大なつくりである。

 北京に3日間滞在した後、中国初の万博開催を来年に控える上海へ移動。国内線を主に扱う上海虹橋空港は、まだ昔の中国の色を強く残した古い空港だが、来年初頭には新ターミナルと第二滑走路が完成するとのことである。

 世界的な恐慌が勃発し、ここ数年GDP(国内総生産)が平均2桁成長していた中国においても、その影響は計り知れない。実際、南部の製造業を中心に多くの失業者を生み、ニュースなどでも話題になった。ビジネスの世界でも同様だ。コンサルティング会社の元同僚たちと話しても、景気のいい話はほとんど聞くことができない。

上海の夜景
上海の夜景

 ただ、実際に街を歩いてみると、そうした様子がまったく見られないのだ。上海や北京などの都市部を訪れたことのない人には想像がつきにくいと思うが、街中に人が溢れ、高級品が飛ぶように売れている。

 上海は万博に向けて、空港だけでなく、各種交通インフラを拡大している。例えば、地下鉄は現在8路線運行していて、5路線が建設中だ。さらに3路線に延線計画がある。ほかにも案件を抱える建設業界は大忙しの状態である。こうした産業が中国の経済を支える一翼を担っている。

グローバルで戦うための英才教育

 かつての同僚の中国人が東京の事務所から上海に戻ってきていたので、夕食を共にして、中国の現状や将来のことなどをざっくばらんに聞いた。その中で、子どもの教育について非常に興味深い話が出た。

 彼女の小学生のお子さんは日本で日本語を中心とした環境で育ったこともあり、現在は上海にある日本語の小学校へ通わせている。卒業後は中学、高校と上海のインターナショナルスクールへ入れて、大学以降は米国に行かせる計画だそうだ。その食事の場に居合わせたもう一人の中国人の方もほぼ同様の計画で、相当額を子どもにつぎ込むことになる。

 これは極端な例であって、限られた富裕層の話であるのは間違いない。ただし、中国は大きい。絶対数で見れば、この人数がとてつもなく多いことが容易に想像できよう。

 また、80后(=バーリンホウ。1980年以降に生まれた新世代の若者たちの総称)や90后と呼ばれる若者たちが徐々にビジネス社会へ登場してきている。1980年生まれであれば、今年で既に29歳となる。

 こうした英才教育を詰め込むことで、世界で戦えるグローバルな価値観を持ったエリートになる可能性は高まる。かつて僕が上海の事務所にやって来て最初に驚いたのは、中国人の英語力の高さである。「中国のタクシーの運転手は英語が通じないから大変だよ」というのは、中国旅行者の間で合言葉になっているが、一口に「中国」とくくれないところが中国の難しさである。

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