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明暗両面の指標が並存する水面下の景気回復景気探検(2/2 ページ)

依然として低い水準での回復ではあるが、GDPが上昇傾向にあるなど、景気の最悪期からは抜け出したといえよう。

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消費者物価指数が史上最大の下落率を記録

 景気の水準の低さは物価動向にも表れている。7月分全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合指数の前年同月比はマイナス2.2%と史上最大の下落率となった。ガソリンや灯油の下落幅が拡大したほか、生鮮品を除く食料の上昇幅が縮小した。原油価格が前年同時期に高騰していた反動もあるものの需要水準がまだ弱いので、消費需要の喚起のための日用品などの値下げ対応などから、前年同月比は7月分で5カ月連続の前年同月比減少になった。

 限界的な所得減少を示すデータの1つと言える自然人の自己破産申立件数は、直近の2009年6月分で1万1743人、前年同月比+4.7%と68カ月ぶりの増加と悪化に転じた。金融機関店舗強盗の発生件数の動きも気掛かりだ。2008年以降で前年同月を上回ったのは2008年1月分と同年11月分の2回であった。景気が厳しい状況になっても店舗強盗が増えていないことは、社会不安面からも消費者心理を落ち着かせる要因の1つと言えた。

 しかし、2009年7月は速報ベースでは20日までで7件と2008年7月月間分の6件を上回り、7月月間分前年比で悪化することが確定してしまった。前年の水準が低いとは言え、店舗強盗が増加傾向になったことは、雇用・所得環境の悪化を示唆する社会現象の1つと言えよう。雇用関連の経済指標では、7月分の完全失業率が過去最悪の5.7%になった。男子の6%台は史上初だ。

 しかし、景気先行指数に含まれる新規求人数(季節調整値)は5月分で48万9713人、6月分で51万230人、7月分で51万391人と緩やかな増加傾向にある。稼働率指数も最悪期は脱し低水準からも上昇している。厳しい中にも方向性的には明るい動きが出ていることは忘れてはならないだろう。


著者プロフィール

宅森昭吉(たくもり あきよし)

「景気ウォッチャー調査研究会」委員。過去に「動向把握早期化委員会」委員、「景気動向指数の改善に関する調査研究会」委員などを歴任。著書は「ジンクスで読む日本経済」(東洋経済新報社)など。



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