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鳩山政権、無難なスタート藤田正美の「まるごとオブザーバー」(1/2 ページ)

日本の民主主義が前進するために民主党は何をすべきか。政権が交代して本当に良かったと感じられる日はいつなのか。

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「タカ」から生まれた「ハト」の挑戦

 8月末の総選挙で圧勝して成立した民主党・鳩山政権。55年前に麻生太郎首相の祖父、吉田茂から政権を奪ったのは鳩山由紀夫首相の祖父、鳩山一郎だった。因縁めいた話だが、その時とまったく違うのは、安全保障に関する考え方である。吉田首相は、米軍に日本を守ってもらうことで日本の経済復興を急ぐべきだとしたのに対し、鳩山首相は、憲法を改正しても日本の再軍備をすべきという考え方だった。「ハト」ではなくどちらかといえば「タカ」だったのである。

 しかし孫の鳩山由紀夫首相は正真正銘の「ハト」である。その路線で外交も無難にスタートした。地球温暖化問題では温暖化ガス削減の中期目標を1990年比25%と野心的な目標を示したことで、この問題で世界をリードしていこうとする姿勢が明らかになった。世界からもおおむね好意的に受け止められている。インド洋の給油問題も、自衛隊ではない貢献の仕方とは何かという問題はあっても、具体案が出てくれば米国も理解するはずだ。

 ただ国内の方は問題が山積している。とりわけ前原国土交通相の担当は難題が多い。八ッ場ダムの建設中止は地元住民とどのように話し合うのか、まだその糸口も見えていない。地元の主張も理解できる。長期にわたるダム反対運動の末にようやくその後の将来構想を描き始めたところに建設中止と言われても、納得できるはずもないのである。

 しかし民主党にしてみれば、ここで建設中止を白紙に戻すわけには絶対にいかない。それではマニフェストの意味が無くなるし、白紙に戻すという実例が生まれれば、あちらこちらで同じようなことを要求されるからだ。

 結論が決まっているということになれば、最終的には住民側が条件付きで受け入れるしかなりようがない。ただ問題はそのプロセスであると思う。民主党政権は、自民党のややもするとごり押し的体質、あるいは札束でほっぺたを張るようなやり方を変えて、どこまで住民と徹底的に話し合えるのだろうか。前原大臣は、住民が納得するまで法的な手続きに入らないとし、同時にいつでも住民と話し合うと明言した。このプロセスを本気で実行することと、透明性を確保することで、民主党政権の将来は大きく左右されることになると思う。

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