大前研一の辛口ニッポン応援談(前編):世界で勝つ 強い日本企業のつくり方(4/5 ページ)
大前研一氏に強い日本企業をつくる上でのヒントを聞く。中国など新興発展諸国の登場でグローバル展開が新たな局面を迎える中、日本企業は大いなる覚悟で進む必要がありそうだ。アンビション(野心、大志)の欠落が危険だと大前氏は指摘する。
グローバル化=人材の最適化
グローバル化というのは人材の最適化でもある。すべてのものを全世界でリーズナブルなものにしていく、ITも含めた経営システム然り、人事然り。
世界には日本人以外の優秀な人間が山のようにいる。こうした優秀な人材をグローバルに集めてやっていかなければならない時代に、日本人だけでやろうとしても無理がある。日本人しか使えないという社長はもう降りないといけない。米国の会社にはインド人がどこにでもいる。Fortune 500に入る企業のうち300社以上は副社長以上のポジションにインド人が就いてるんじゃないか。
彼らは本当に優秀だし、方法を間違えなければすごい力を発揮する。しかし、こちら側の能力がないと理屈や口上ばかり述べて使いものにならない。日本企業はほとんどインド人スタッフを使えていないのが実情だ。
人材の世界化、システムの世界化、商品コンセプト・開発の世界化……。クラウド・ソーシングを使って、自社の研究開発能力の10倍くらいの能力を発揮しようという時代に入っているのに、日本の企業トップと話していると「それってわれわれの時代には起こりませんよね」なんて言ってくるんだ。
話にならないね。この10年間で経営者が勉強しなければいけなかったことはその前の10年間に比べたら10倍あった。その大半がテクノロジーで、CEOはそれを理解した上で自社に導入すべきか判断できないと経営できない。経営者と経営ツールのミスマッチがいま非常に大きくなっていることが問題だ。
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