【第13話】アイデアの連鎖:内山悟志の「IT人材育成物語」(1/2 ページ)
奥山、宮下、阿部、浅賀の4名は、ブレインライティング法を使って課題の洗い出しを始めた。しかし、情報システムに関する知識のない経営企画部のメンバーはアイデア出しで行き詰ってしまう。
内山悟志の「IT人材育成物語」 前回までのあらすじ
ブレインライティング手法でアイデアを洗い出すにあたって、書き出しの最初の1行目の設定が重要だという川口のアドバイスを受けて、4人は課題をまとめた模造紙から12枚のカードを選び出した。まずは、「○○が低下している」のように示された課題を、「○○を向上させる」という具合に単純に裏返して表現すれば解決策となるわけだ。
すっかりリーダーの風格が出てきた奥山が課題のカードを読み上げながら、表現を裏返して解決策に変換し、それを宮下が手早く新しい付箋紙に書き留めていった。何回かの勉強会で作業を共にした2人の連携プレイは見事なものだ。アイデア出しやその取りまとめの作業を行う際、場を仕切って発言する人と、ペンを取って素早く書き出す人がそろうと生産性が格段に高まるものだ。2人の間には、暗黙のうちにそうした役割分担が出来上がっていた。
手法にも柔軟性が大事
宮下は12枚のカードに書き出した解決策を各人に3枚ずつ配り、各々がシートの最上段に貼り付けた。「さて、ここからは沈黙のブレインストーミングの時間だ」という川口の合図に、4人は一斉にペンを取り、次の行のカード作成に取り掛かった。すらすらとサインペンが走る音が響き、1行目のカードを参考に2行目のアイデアが書き出されていった。
数分経過したとき、今日が勉強会初参加である経営企画部の浅賀は筆を止め、川口に質問を投げ掛けた。「このカードに『システムの構造が柔軟性に富んでいる』とあるのですが、皆目見当がつきません。どのようなものでしょうか」。システム開発の経験がない浅賀にとって、情報システムの構造に関する解決策が浮かばないのも無理からぬことである。
そこで川口は「真上のカードをヒントにするのが原則だが、思い浮かばないカードは無視して、残りの2枚から発展させたアイデアを書いて構わない。そのシステム構造に関するカードは、後で情報システム部の人にシートが回った時にきっと取り上げてもらえるだろう」とアドバイスした。
「なるほど、手法も柔軟に考えればいいのですね」と安心した表情の浅賀は、ほかのカードをヒントに3枚目のカードを記入した(図1)。
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