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「地方へ販路を拡大し国産ブランドからシェアを奪う」――ソニーチャイナ・永田社長世界で勝つ 強い日本企業のつくり方(3/3 ページ)

中国市場においてテレビの販売シェアで国産ブランドに遅れをとっている外資企業。ソニーは地方都市への販売ネットワークを拡張するとともに、独自の戦略で顧客増を狙う。

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不況をきっかけに流通在庫の圧縮に成功

ITmedia リーマン・ショックから1年が過ぎました。改めてこの1年を振り返りどのような印象をお持ちでしょうか。

永田 リーマン・ショック直後は中国に限らず世界中の経済や消費がこの先どうなるのか非常に不透明でした。加えて、中国の経済成長は前々からバブルではないかと指摘されており、何かのきっかけで反動が来てもおかしくないタイミングでした。今年度の予算を作成した時期の中国市場を振り返ると、株価は下がり不動産取引も減少していました。特に輸出産業の大きな落ち込みが目立ちました。唯一ポジティブな材料は、8%の経済成長を維持するという政府の指標でした。ただし、他国は軒並みマイナス成長している中、何パーセントであれプラス成長はすごいと中国経済の復活を信じました。そこで今年の予算は、4〜9月までは非常に慎重な数字を設定し、10月以降は対前年比で2、3割上乗せしたものにしました。

 実際、中国のGDP(国内総生産)は、2008年第4四半期で7%を切り、2009年1〜3月の第1四半期は6.2%でしたが、4〜6月の第2四半期は8%近くまで戻ってきました。これは中国政府による4兆元(約60兆円)の投資施策によるところが大きいです。

 ただし輸出はいまだ回復途上にあります。米国やヨーロッパの景気が戻らない限りは苦しいでしょう。投資や内需拡大策で何とか経済をけん引していますが、成長の柱の1つである輸出が復調するにはもう少し時間がかかります。

 そうした市況においてソニーチャイナは、流通在庫を大幅に圧縮するために、1週間ごとに在庫を見直すようなスピード感あるオペレーションに変えました。元々そうしたオペレーションはPC「VAIO」シリーズで経験していました。例えば家電量販店にPCの在庫が4台あるとして、1台売れたら1台補給するというロジスティックを構築しました。テレビやデジタルカメラにも展開しており、約1年で流通在庫が半減したほか、自社の在庫も半分になり経営に良いインパクトを与えています。

 家電業界では、商品価格が下落していくたびに流通在庫をメーカーが補填しなければなりません。在庫が少なくなれば補填金額が減り、キャッシュフロー上の効果があります。経営の意思決定も早くなり、次の手をすぐに打てるようにます。苦しいビジネス環境の中、他社に先がけて迅速なアクションが取れたため利益は安定しました。まさにリーマン・ショックのおかげでオペレーションが改善できたのです。

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