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25%削減目標が意味する日本の将来――富士通 環境経営トップセミナー基調講演(2/3 ページ)

鳩山内閣が発表した、2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減するという中期目標。この数字が意味するものは何か。その背景や達成するための道筋を示した国立環境研究所特別客員研究員 西岡秀三氏の講演をリポートする。

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早めの対策を

  2009年7月にイタリアで開催されたG8ラクイラサミットでは、平均気温の上昇は2度を越えないようにすべきであるという認識が共有され、世界全体の温室効果ガス排出量を2050年までに少なくとも50%削減し、先進国全体では80%以上削減するという目標が再確認・支持された。

  2020年までに25%削減するという中期目標は、2050年に80%以上削減するという長期目標を達成するためのもので、西岡氏によると「中期目標の考え方は、何もしなかったら10年後には絶対に損をするので、今のうちから方向変更しておこう。その方が絶対得だ、というものだ」という。

 同氏はCO2削減を早くから始めた方が有利な理由として、温暖化による被害や期待していたCO2削減技術が開発できなかった場合のリスク回避や、最後に一気に資金や人的資源を投資するのはかえって不効率なこと、低炭素社会のインフラ整備にはリードタイムが必要なこと、早くから取り組むことで技術開発の進展が望めることなどを挙げる。

 2020年までに25%削減すると家計負担が36万円増えるといわれていることに対しては、炭素税などの税収を低炭素投資に回せば、温暖化対策を何も行わない場合と比べても、家計負担増は1万円程度にとどめることができると指摘(国内削減15%+海外10%のケース;国内削減25%の場合は年間の家計負担増15万円程度)。また、温暖化対策への投資についても、エネルギー費用の削減によって元が十分取れると強調した。

オレンジ色の「参照」は温暖化対策を何も講じない場合。炭素税などの税収を低炭素投資に回すことによって、温暖化対策への支出がGDPや可処分所得に与える影響を緩和できる
オレンジ色の「参照」は温暖化対策を何も講じない場合。炭素税などの税収を低炭素投資に回すことによって、温暖化対策への支出がGDPや可処分所得に与える影響を緩和できる
温暖化対策への投資額とエネルギー費用の削減額との関係。2030年までで見ると、投資費用の大部分を回収できる
温暖化対策への投資額とエネルギー費用の削減額との関係。2030年までで見ると、投資費用の大部分を回収できる

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