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25%削減目標が意味する日本の将来――富士通 環境経営トップセミナー基調講演(3/3 ページ)

鳩山内閣が発表した、2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減するという中期目標。この数字が意味するものは何か。その背景や達成するための道筋を示した国立環境研究所特別客員研究員 西岡秀三氏の講演をリポートする。

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産業構造や社会インフラ、経済システムは変わらざるを得ない

 一方、2020年に25%、2050年に80%削減を達成するためには、技術改善の加速化や産業構造の変化、社会インフラの整備、企業の対策、税収の効率的な利用などが必要になると西岡氏は指摘する。

 技術改善では、これまでエネルギー集約度(GDP当たりのエネルギー量)は年率で1.25%改善されてきたが、それを2倍に引き上げる必要がある。産業構造の変化についても、これまで日本は供給側が主導する社会であったが、これからは消費側の必要エネルギーや物質量が産業構造を決定する時代にならざるを得ないという。社会インフラの整備では、歩いて暮らせる街づくり(コンパクトシティ)や公共交通システムの整備(モーダルシフト)などが必要となる。経済システムでは、安定気候の価値(炭素価格)を組み込むことにより、環境税や排出量取引、標準化や規制などで低炭素化に努力したものが報われるようにする必要もある。

運輸旅客のエネルギー需要削減例。人口減少による移動総量の減少やモーダルシフト、コンパクトシティ、エネルギー効率の改善などにより、2050年にはエネルギー需要を80%削減できるという
運輸旅客のエネルギー需要削減例。人口減少による移動総量の減少やモーダルシフト、コンパクトシティ、エネルギー効率の改善などにより、2050年にはエネルギー需要を80%削減できるという
エネルギー需要全体の削減例。エネルギー供給側だけの努力ではCO2 70%削減は困難だが、消費側の賢い選択によりエネルギー需要を40〜45%削減できるという
エネルギー需要全体の削減例。エネルギー供給側だけの努力ではCO2 70%削減は困難だが、消費側の賢い選択によりエネルギー需要を40〜45%削減できるという

 2020年までに25%削減するという中期目標の意義は、日本の将来をより良いものにするために、また、国際競争にも対応するために、政治の意志を明快なシグナルとして国民や産業界に伝えることにあると西岡氏は語った。

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