【最終回】新時代のイノベーションを実現するリーダー:潮目を読む(2/3 ページ)
グローバル企業と比べて日本企業の多くのCIOは、調整タイプのIT部門長であり、たとえ社内でうまく役割を担っていたとしても、外部環境で通用するかは疑問である。
グローバルと日本の相違点
次に上記の6つの役割について、グローバルと日本の相違点を見てみましょう。グローバルの高成長企業のCIOは6つの役割すべてにおいて特性値が高いのではなく、「洞察力に富んだ先見者」、「協働するビジネスリーダー」、「有能な実務者」が特に高いという結果が出ています。対して日本企業は「組織を活性化するITサービス提供者」の特性値が高いことが大きな特徴です(図2)。
理由としては、日本ではCIOがIT専門担当役員である割合が35%であるのに対し、グローバルでは75%と、CIOの位置付けが大きく異なっています。このことが、グローバルと日本のCIOの差異を作り出している主たる要因ではないでしょうか。つまり、日本ではCIOがボードメンバーに入っていることが少ないので、経営に影響を及ぼしづらいという状況にあるのです。グローバルの高成長企業では、CIOとサブCIOの役割分担を明確にして、CIOはより経営に近い部分を受け持っていることも要因の1つでしょう。
端的にいえば、グローバル企業のCIOはビジョンを持った経営層の一員であるのに対し、日本企業のCIOはIT部門長であり、これを「CIO」と称して良いのかという疑問が生まれてきます。「自分はビジネスとITの融合に積極的な活動をしている」と回答しているCIOは、グローバルと比べて日本は約半分という結果がそれを裏付けています。
ビジネス側からのCIOの役割を見た場合、「ITサービス提供」と「事業および企業ビジョンの具現化」の割合では、グローバルが3:2であるのに対し、日本では3:1と、CIO自身だけでなく、ビジネス側も「ITサービス提供」という役割に軸足を置いてCIOを見ているのが現状です。「ビジネスとITの融合」の実践とビジネス成長との相関を見ても、グローバルでは両者の相関は非常に高いのですが、日本ではその相関が判然としていないのが現状です。日本企業のCIOは今後さらにビジネスにかかわり、ビジネスに直接貢献することが求められてくるでしょう。
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