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読書も仕事も、効率より効果を重んじよビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

昨今、薄く、読みやすいビジネス書がベストセラーになっているが、ビジネスの世界で生き残るなら骨太で「分厚い」本に挑戦すべきだ。

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 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。

 最近は効率ばかりを追いかける風潮があるが、大切なのは、効率ではなく「効果」だ。このところのビジネス書ベストセラーを見ていると、知識がなくても読める自己啓発書や、薄い本、読みやすい本ばかりが目につく。ビジネスの成否はコストに対するリターンで測られるべきなのに、コスト面ばかりを気にして、肝心のリターンには関心がないようだ。

正しい価値とは

 その部類の本が述べているのは、いかに時間を節約するかなど効率を高める話ばかりで、効果についてはまったくといっていいほど触れていない。だが、情報産業の時代に求められるのは効果なのだ。

 これは少し考えてみればすぐに理解できる。仮にあなたが1000円の書籍を売って10億円の売り上げを立てようと思ったとしよう。100万部売れる本を作れば1冊で済むところを、1万部しか売れない本であれば100冊作らなければならないのだ。売り上げは同じだがコストは後者の方が100倍高くつく。効率を上げてたくさんの本を作れる人材よりも、効果を重んじて100万部売れる本を作れる人材の方が重宝されるのは当然だろう。

 同様のことは、コピーライティングの世界にでも言える。伝説のコピーライター、ジョン・ケープルズが書いた名著「ザ・コピーライティング」によれば、ある通販の広告ではコピーの違いで売り上げが最大19.5倍になったという。著者のクライアントの雑誌広告の事例を見ても反響に4.5倍の差がついたことがある。もし、優れたクリエイティブが4.5倍の売り上げをもたらすと分かっていたら、4倍まで時間をかけていいことになる。いや、そのコピーを載せる媒体費のことを考えたらもっとだ。

 それなのに、経営者や上司は、いまだに効率ばかりを重視し、早く手を動かせなどと言っているのである。

 システム開発の生産性に関するコンサルティングで知られるティモシー・リスターの法則に従えば、「人間は時間的なプレッシャーをいくらかけられても、速くは考えられない」のだ。

 では、効果を生むためにビジネスマンはどのように考え、行動すべきか。常に現状を疑い、よく観察し、創造性を発揮して、クライアントに貢献することである。

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