亡くなることの準備は、生きていく不安を減らすこと:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
「わたしはどこのお墓に入るんだろう?」と思ったことがありますか。土でも、海でも、宇宙でも、生きているうちに決めておけば安心して暮らせるのです。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
「気付いたら父親の背中が小さくなっていた…」
「実家に帰るたび、母親の顔のしわが増えている…」
自分のことで精一杯だった20代。必死になって仕事に取り組み、昇進の階段を登りながら、結婚し、子供が生まれ家族のためにも一生懸命頑張ってきた。
とにかく走り続けてきた仕事人生。
「頑張ってきたなぁ」と一息ついてみる。
振り返ると、自分の成長と子どもの成長がそこにあった。
その喜びを感じながら気になることもある。
今まで「大きい」と思っていた父親の背中が、どこか小さく見えてしまう…。
去年よりも母親の顔のしわが増えている…。
こんな「ちょっと寂しい気持ち」になることはありませんか?
備えあれば憂いなし
1つずつ年齢を重ねるのは分かっているけど、それを認めるのが苦手な方は、いつの間にか親孝行のタイミングを失ってしまうことがあります。一緒に楽しい時間を過ごすなら、やはりお互いに元気なとき。いろいろと親孝行ができるのは今だけかもしれません。「孝行したいときに親はなし」という昔の人の言葉を思い出します。
親の将来のことについても、いろいろと話せるのが今のうち。親が元気なときに、家の歴史、生い立ち、親戚のこと、家族、ペットのこと、財産のこと、お葬式のこと、お墓のことなどをきちんと話し合いたいものです。そんな話は「縁起が悪い」という声も聞きます。しかし、大切なことを何も知らされずに苦労をするのは子どもたち。そんな姿を見たい親はいないはずです。
いきなりこのような話を切り出すのは難しいこともあるので、そんなときは親と一緒にお墓参りに行くのも1つの方法です。家の歴史、先祖、親戚のことなどを自然に話せますし、お墓の場所を確認することで、将来のトラブルを未然に防ぐこともできます。
そのトラブルとは、「ダブルお布施地獄」です。
お墓の場所(正確には檀家の契約をしているお寺)を知らないために、お坊さんに対するお布施を二重に納めてしまうトラブルが発生しているんです。自分でも経験しましたが、親のお葬式はつらく悲しいもの。そんなときにダブルでお布施を納めることになれば、ずっと後悔を背負いながら生きていくことになります。
トラブルはこうした流れで起きます。
(1)あるお寺に墓地を持っている
(2)その場所を子どもが知らない
(3)お葬式のとき、葬儀社に紹介されたお坊さんに拝んでもらう
(4)墓地を発見!
(5)その墓地に納骨しようとしたら、住職から再び葬儀をする必要があると言われた
(6)(3)と(5)でダブルのお布施
お葬式のお布施は、全国平均で54.9万円(「第8回葬儀についてのアンケート調査」より、財団法人日本消費者協会調べ)です。ダブルとなると……お分かりですよね?
このようなトラブルに巻き込まれないために、親と一緒にお墓参りをすることで、墓地の場所を確認することができます。そして何より手を合わせることで、気持ちが安らかになります。
「誰がお墓を守っていくか」ということも大切な話題です。例えば、お墓の跡継ぎ候補が何人もいる場合には、兄弟の間で争いが発生することがあります。逆に跡継ぎ候補が誰もいない場合には、その後のお墓をどうするかが問題になります。最近では、納骨堂や樹木葬、散骨といった新しい方法が登場していますので、このあたりも含めて親と話をしたいものです。
また、実家の近くにお墓があるけれど、現在の住所からは遠くてお墓参りに行くことが困難という方は、改葬(かいそう)といって、お墓を引っ越しすることも可能です。役所で手続きをする必要があるので、詳しくは墓地の管理者にお問い合わせください。
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