あなたの知らない“ハイサワー”の世界――博水社社長・田中秀子さん(前編):嶋田淑之の「この人に逢いたい!」(3/7 ページ)
「わるならハイサワー♪」の博水社は、清涼飲料水を作り続けて80余年。昨年「タモリ倶楽部」に登場した3代目社長に逢ってみたい! と筆者は東京・目黒の本社を訪ねた。そこで出会ったハイサワーの未知の味とは……?
なるほど、サッパリ、スッキリした飲み口のお酒が合うのか……と思ったのだが、次に出てきた日本酒を割ったハイサワーを頂いて驚いた。この日本酒がかなりの甘口だったからだ。
「お客様がメールで教えてくださったんですけど、日本酒には、“ハイサワーうめ”“ハイサワーライム”が合うんです」。甘口の日本酒と割ることで、フルーティでかぐわしい吟醸香の絶妙な「和風カクテル」になるようだ。
驚きは続く。「甘いと言えば、甘みの強いドイツの白ワインを“ハイサワー青りんご”で割ると美味しいんです。ワインブームの時期に、現場から上がってきた知恵なんです」
確かに、ヨーロッパでは、ワインを炭酸で割って飲む習慣もあるし、「これはアリだな!」と私も思わず納得した。
美味しいサワーでもてなして下さりながら、田中社長は、こんなこともおっしゃる。
「個人的にはいずれ、泡盛の時代が来てほしいという思いもあります。泡盛独特の強い個性には、“ハイサワーレモン”がすごく合うんです……是非試してほしい、“ハマル味”です。あと、ジンとも合いますよ! “ハイサワーライム”で割れば、まさに“ジンリッキー”ですよね」。
いろんな種類のお酒を割って、次々に新しい味の世界を紡ぎ出してゆくようすは、魔法のようでもある。筆者は、めくるめくその豊穣な世界に酔いしれながらお話を伺ったのだった。
「ハイサワー」の名前の由来
ところで読者の皆さんは、“ハイサワー”の意味や語源をご存知だろうか?
「もともと、蒸留酒を炭酸で割ったものをサワーと呼びますが、先代が初めてサワーを開発したときに、『我輩が作った』という意味を込めて『輩(=ハイ)サワー』と命名したんです」
ネーミングの由来が出てきたところで、筆者は博水社の経営の歴史をお聞きしてみた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.