【第1回】内陸部の消費ブーム――中国で戦うための心構え:世界で勝つ 強い日本企業のつくり方(2/3 ページ)
「郷に入れば郷に従え」ということわざが示すように、日本企業が中国市場で成功するためには現地を深く理解していなければならない。新連載では「日本企業が中国で戦うための心構え」をテーマに、中国の専門家である野村総合研究所の此本臣吾執行役員が中国の今を解説する。
住宅と自動車の購入がブームに
まず、図表1は今後お金を使いたい分野を尋ねたものであるが、おおむね、ネクストリッチ層の回答は沿岸部も内陸部も類似している。日々の生活に直結する食料、外食、衣料はいずれも関心が高い。住宅、不動産と自動車についても関心が高い。ネクストリッチ層にとって住宅と自動車の購入は地域を問わず今やブームである。ただし、耐久消費財の中でも、家電については内陸部ではお金を使いたい分野の上位にあるものの、沿岸部ではそこまでではない。つまり、自動車に比べて家電は同じ耐久消費財でも沿岸部ではネクストリッチ層での需要が一巡しているのではないかと思われる。
また、住宅、不動産に次いで、子どもの教育・学習への支出の関心が高い。内陸部よりも沿岸部においてその傾向が顕著である。ネクストリッチ層を対象とする消費市場の中で教育分野は大変有望である。さらに、国内旅行についても高い関心が示されている。旅行への関心は内陸部においてより顕著である。
今回の調査ではネクストリッチ層の8割以上が薄型テレビ(液晶テレビ、プラズマテレビ)を既に保有しており、デスクトップパソコンは9割以上が既に保有しているという結果になった(図表2、3)。デスクトップパソコンは2年前に行った類似調査(世帯年収10万元以上、聞き取り型アンケート調査)でも9割以上が保有という結果だったため、今回も同様な結果が得られていることに不思議はない。しかし、液晶テレビについては、2年前の類似調査では3割程度だったのに対し、今回は8割以上である。液晶テレビについてはこの2年間に市場が急拡大したことがうかがわれる。
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