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【第19話】施策を練り直す内山悟志の「IT人材育成物語」(1/2 ページ)

施策を絞り込む過程で、新規のシステムを構築することよりも、ITを最大限に活用する企業風土を築くことが今のあかり食品には重要だと気付いた4人は、再度課題を整理し直し、施策を練り直し、ようやく結論を導き出した。

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内山悟志の「IT人材育成物語」 前回までのあらすじ



 社内でさまざまなシステムを構築したり業務の情報化を推進したりしても、それが必ずしもビジネスの貢献にはつながっていない。ディスカッションを通じて根源的だと思われる課題が8つ抽出された。これらに対する解決策もこれまでの作業の中で抽出されているはずだと考えた4人は、以前、ブレインライティング法で洗い出した施策案を記述したカード群を探し始めた。そこから十数枚が選び出され、前回と同様の評価マトリックスに当てはめて「事業への貢献度」が大きく、「実行の難易度」が低い施策という観点から施策の絞り込みを行おうとした。

事業への貢献度の土台

 前回も同じように、事業への貢献度と実行の難易度という指標で施策を評価したはずだが、それによって浮かび上がった優先施策はシステム化を伴うものばかりであった。そこで、4人は事業への貢献度という尺度を再考することとした。

 新しく抽出した施策群のカードを凝視していた奥山が、「前回施策を評価したときは、『事業への貢献度』を売り上げの増加、コストの低減、リスクの回避、業務の効率化、業務の迅速化、業務の品質向上という6つの尺度で評価しましたが、これらは、いずれも事業や業務の改善に直接的に働き掛けるものだったような気がします」と発言した。

 これに浅賀が続いて発言した。「一方で、根源的と思われる8つの課題に対応しそうな施策群は、どれを見ても売り上げの拡大や業務の効率化にすぐに役立つものとは思えないものばかりです。むしろこれらは、企業風土、経営者や従業員の意識、IT部門の責務にかかわるもの、つまり、『事業への貢献度』の土台となる施策ではないでしょうか」。

 4人は、事業への貢献度の土台となる施策の評価方法について議論した。その結果、根源的と思われる課題を直接解決する具体的な施策であるかどうかを尺度とすることに決定した。この評価を経て、解決策は6つに絞り込まれ、これらがどの課題を解決するものであるかの関係付けを整理した(図1)

<strong>図1</strong> 根本原因と思われる課題への解決策
図1 根本原因と思われる課題への解決策
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