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今ほどCFOであることに心躍る時代はない【前編】(1/2 ページ)

先行きの不透明な、かつてない不確実性が増した現在のビジネス環境において、企業の最高財務責任者はいかなる役割を果たすべきなのでしょうか。2回に分けて議論を進めていきます。

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 グローバル化の加速度的進展や経済危機による経営環境の激変により、企業が成長していくためには、事業変革やコスト構造の見直しが喫緊の課題になっています。かつてない不確実性が増したこのような環境の中、CFO(最高財務責任者:Chief Financial Officer)や経理財務部門リーダーは、どのような役割を果たすべきなのでしょうか。

 IBMでは、世界中約1900人、日本では128人のCFOおよび経理財務部門リーダーにインタビューや調査を行い、その結果を「IBM Global CFO Study 2010」としてまとめました。CFOの新たな役割について、示唆に富んだ興味深い結果が出ています。

 一昨年来の世界的不況がCFOにとって重大な出来事であることは間違いありません。しかし、状況はやや意外な方向に進んでいるようです。CFOと経理財務部門は、注目を浴びる中で資本調達、キャッシュフロー、収益確保などの課題に対処する必要に迫られました。その一方で、経営会議では、企業を取り巻く環境の変動や不確実性の高まりを受けて、収益性、リスク管理、サプライ・チェーンの価格設定、生産予測といった戦略決定について意見を求められることが多くなっています。結果として、企業におけるCFOの影響力は従来よりもはるかに大きくなりつつあるのです。こうした流れは、IBM Global CFO Study 2010でも裏付けられています。

 しかしながら、調査結果では、経理財務部門の業務効率化が進んでいないことを示しています。これは、CFOの提言が企業の成功を左右することも少なくない広義の責任範囲あるいは影響範囲において特に顕著です。

期待される役割の変貌、現実とのギャップの拡大

 経理財務部門の本来の責務が重要でなくなったわけではありませんが、CFOが企業グループ規模の問題に関与する局面は際立って増えています。例えば、「CFOにとって重要なことは何か」という質問に対して、会社全体の情報統合の重要性と答えた割合は、2005年の調査の2倍以上に増えています。同様に、企業のリスク管理に対する重要性は2005年と比べて93%も増加しています。過去5年間でCFOが企業全体の活動に果たす役割は増加し、その位置付けも大きく変化してきているのです。

 このように役割が変貌する中、経理財務部門に対する期待は現実の業務効率化を上回るスピードで高まりつつあり、周囲の期待と現実とのギャップは広がる一方です。

<strong>図1</strong> 効率化が重要性に追いついていない
図1 効率化が重要性に追いついていない

 図1は重要性の認識と効率的に対応という回答のギャップを示したものです。これによると、全般的に、日本の経理財務部門は、グローバルの平均よりも大きなギャップを抱えていることが分かります。特に顕著なのは企業全体にかかわる重要な活動です。経理財務部門における人材育成、継続的な経理財務業務の改善、経理財務業務のコスト削減推進、企業戦略立案のための情報提供といった項目では、ギャップが大きくなっています。

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