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永遠のパラドックス「今どきの若者は……」に決着を生き残れない経営(2/3 ページ)

「今どきの若者は何を考えているか分からない」というのは、いつの時代も語られる。だが嘆く前に教育するのが経営者の義務である。

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 もう1つはOJT(On-the-Job Training)の一例である。筆者が入社間もなく、上司であった製造課長から「製品の納期遅れがひどすぎる。納期がくると爆発するシステムでもつくれないものか」と言われた。実は、そこは事業所でまれな非量産製造現場で、まるでコンピュータ管理の過疎地だった。筆者は、手作りの「納期見える化」装置を提案した。

 4年くらいたった後、その装置の考え方がきっかけとなって非量産現場にオフコンを導入した。さらにその後非量産オンラインリアルシステムへと発展していったが、そんなことは製造現場の連中は知る由もない。大学を出て2、3年の若造の遊びみたいアイデアなのに、製造現場の連中は忙しいさなかにもかかわらず寄ってたかって設計図を書いたり、材料をかき集めたり、切断したり溶接したりしながら、多くの金と労力をかけて大規模な装置を作り上げたのだ。

 まるで大型のおみこしのような代物が、現場事務所のど真ん中に設置され、稼働を始めた。使いにくさも感じたが、現場の連中は試行錯誤を繰り返しながら、何とか使い切ろうとした。後になって考えると、これも意識するしないにもかかわらず、若者に対する教育の意味があったのだろう。

 いずれも、教育システムという「形」にはなっていない「無形」の教育である。

 「今時の若者は……」「学校は何を教育しているのか……」と愚痴る前に、企業は若者を育てるという「仕組み」を己の体内に組み込む努力をしているか。

 その「仕組み」は、座学による講義や資格制度だけではない。もちろんそれはそれで必要であるが「社会人基礎力」に示された「前に踏み出す力」や「考え抜く力」「チームで働く力」というたぐいのものは、講義や資格制度によるよりも、むしろ次のような方法が優れている。

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