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2010年は「3D元年」になるかハリウッドは本気(2/5 ページ)

『アバター』の登場をきっかけに、3D映画への関心が急速に高まっている。放送局、テレビ業界、ゲーム業界、家電業界を巻き込む一大ムーブメントになりつつある3D市場の方向性を考えてみる。

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3Dをリードするコンテンツは映画

 3D関連市場概観を見ると、テレビやビデオ機器などの映像機器市場が2兆円、放送事業が4兆円市場であるのに対して、映画興行市場はたったの0.2兆円しかありません。派手なイメージとは裏腹に規模が小さいのが実情です。2次利用としてのソフト販売も2009年ベースで780億円程度、レンタル市場が3000億円程度でレンタル市場のほぼ4割が映画コンテンツですので、映画ソフトはレンタル市場込みでも0.2兆円規模でイメージとは程遠く感じるのではないでしょうか。4割が映画コンテンツとして、ソフト市場全体で0.2兆円規模の市場でしょう。

 もちろん3Dコンテンツは映画だけではなくゲーム、スポーツ、観光や音楽など、注目される3Dコンテンツは多岐のジャンルにわたっています。しかし、3D元年として3Dの成功体験を提供するという視点で見落としてはいけないのは、3Dの魅力を伝える場として映画館の音響設備と大スクリーンの迫力です。

 さらに映画の洗練されたストーリーでの感動も加わり、総合的な3Dの成功体験の「場」を映画は提供しているのです。現在、映画館の3Dは4つの方式で上映されていますが、スクリーン数は全方式トータルで300スクリーンに迫る勢いです。これだけの数、3D上映可能な映画館レベルのデモスペースをそろえる事は大手家電メーカーにも不可能でしょう。つまり3Dの成功体験が3D市場を活性化すると考えるならば、まず映画館に誘導し、一般に3Dのイメージを成功体験として植えつけるべきといえるでしょう。

映画を見ると3Dを家でも楽しみたくなる

 オリコンの「3D映画・3Dテレビ意識調査」によるとアバターを見た人の75.2%が強い満足感を得ており、満足の理由に3Dを挙げています。また、3D映画を体験した方が3D対応テレビの購入意欲が14.3%も高く、パッケージを購入する際は31.8%が3Dで購入したいという結果も出ています。単純に言えば、面白い3D映画を観た人は3Dに興味を持ち、ソフトは3Dで観たくなり、3Dテレビが欲しくなるという傾向がうかがえます。

 2009年は、パッケージ市場にとっては厳しい年となりました。過去の作品が一巡し、新作ソフトが現象したためです。パッケージ市場にとっての期待は、DVDからBlue-rayへの主役交代です。3Dへの購買意欲の高まりは、3DTV、3D対応BD再生機への購買を促します。3Dは技術的にDVDではなく、3D対応Blue-rayでの再生となりますので、3Dパッケージへの購買意欲の高まりは、Blue-rayのシェア拡大をさらに後押しすることにもなります。

 もちろん、3Dを楽しむためには3D対応のテレビも必要になりますので、家電メーカーとしては3D対応再生機と3D対応テレビと2重の喜びです。

 「映画館での成功体験が3Dソフト購入の意欲につながり、ひいては3D再生機、3D対応テレビの購入を促す」

 という流れになり、市場は小さいものの、映画をきっかけに、メディアはDVDがBlue-ray、再生機は3D対応BD機、3Dテレビの普及へと波及する可能性があるのです。つまり3D元年に3D関連業界は、消費者を映画へと誘導し、3Dの成功体験をさせることが重要なのです。

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