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SAP共同CEOが語るSybase買収の狙い

ドイツ・フランクフルトで開催中の年次イベント「Sapphire Now」の会場で、SAPのジム・ハガマン・スナベ共同CEOに買収の狙いについて聞いた。

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 独SAPは5月12日に、米Sybaseを58億ドルで買収すると発表した。5月17日、ドイツ・フランクフルトで開催中の年次イベント「Sapphire Now」の会場で、SAPのジム・ハガマン・スナベ共同CEOに買収の狙いについて聞いた。

 両社は2009年の3月に、iPhoneやWindows Mobile携帯などの携帯電話向けに、ビジネスソフトを提供することで提携すると発表していた。ERPやCRMを統合した「SAP Business Suite 7」をSybaseのモバイルプラットフォームで利用できるようにするという内容だった。


(以下、ジム・スナベ氏の談話)

 SAPがSybaseを買収した最大の理由は、Sybaseのモバイル技術の獲得とインメモリ技術への注力にある。


SAPのクラウドコンピューティングヘの取り組みである「SAP Business By Design」に関して、7月に最新版の「2.5」をドイツ、米国、フランス、中国、インド、英国の6カ国でリリースすることを明らかにした

 企業におけるコンピューティング環境は従来のデスクトップから、現在はモバイル分野へと急速に移りつつある。Sybaseにはモバイルデータベースなどのモバイル技術が豊富にあり、買収することでSAPは分析ソフトウェアなどの分野に加え、企業向けモバイル分野でも主導権を握れる。もちろん、Sybaseが持つ顧客ベースの獲得も目的の1つだ。

 もう1つの要因は、インメモリ技術への注力だ。SAPが持つインメモリ技術は他社を1年半ほどリードしていると考える。これをSybaseのモバイルプラットフォームで活用する考えだ。

 インメモリ技術を活用することで、データの処理能力は飛躍的に上がる。このため、従来とは異なるコンピューターの利用が可能になる。例えば、大規模なデータベースを参照した上で、分析結果からビジネス的なシミュレーションをするといった場合、もし処理が速ければ、同時に複数の戦略を策定し、比較できる。最も優れた戦略が見つかるまでシミュレーションするといった使い方ができるのだ。(従来の方法では、シミュレーション作成の処理が重いため、1つの戦略をつくるための作業負荷が大きい)

 つまり、インメモリ技術を前提にすると、アプリケーションの在り方を再定義する必要が出てくるのである。

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