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夢をかたちに伴大作「フクロウのまなざし」(2/3 ページ)

富士通の山本正己新社長が7月9日に自らの経営方針を発表した。業績回復の見込みが消極的だったことについて、僕の考えを記す。

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問題山積のコモディティと半導体、アプリケーション

 山本社長はPC部門の経験が長い。従って、コンシューマビジネスの困難さは身をもって知っているはずだ。

 どうも、富士通は歴史的にコンシューマープロダクツ分野で競争に勝った試しがない。企業向けならそれなりに頑張れるのだが、一般コンシューマーが利用し始めると途端に意気地がなくなる。PCは長い間これで苦しみ、ファクシミリに至っては、最初からコンシューマー向けは諦めていた。今回の発表でも、採算性に問題のあるPC製品などに関する戦略は明確にならなかった。

 東芝と携帯電話のビジネス統合を発表したが、これに関しても、あくまで国内市場を対象にと山本社長はことわっていた。当然、スマートフォンに関してもない。

 山本社長が、クラウドコンピューティングへの積極的な取り組みを明らかにしたということは、もう一方のビジネスの柱であるクライアントマシンの重要性も認識しているはずだ。だが、それへの戦略がマイクロソフト任せでは少しさみしい。

 半導体に関する方針も二転三転している。黒字化したと山本社長が今回の記者会見で胸を張ったが、それはどのメーカーも同じで、単に市況が回復しただけの話だ。世界的に半導体ビジネスは一定のボリュームがないと生き残りが困難な状況になる。それは山本社長も知っているはずだ。いったいどうするのだろう。

 ソフトウェアビジネスに関する質問も数多く出たが、どうも記者と山本社長とは議論が噛み合わなかった。記者はアプリケーションを意識する質問だったのに、山本社長の回答はミドルウェアに関する回答に終始していた。コンシューマーであれ、エンタープライズ向けであれ、米国製のソフトウエア(ミドルも含む)がデファクトスタンダードになってしまった現在、山本社長の回答は正しいのかもしれないが、最も利益を生むソフトウェアを米国企業に独占されている現状に僕も含めてマスコミは不満があるのを理解してほしい。

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