「和風グローバル商材」の開発は日本ベンダー成長の源:戦略コンサルタントの視点(2/3 ページ)
IT大手4社の業績は、売上高が横ばいの富士通、NTTデータ、売上減少の日立製作所、NECと差が出ています。今回は将来的な業績も左右する大手システムベンダーのグローバル戦略について考察します。
V字回復を支えるグローバル商材を揃えられるかNEC
NECは今年に入り、1970年代からのスローガン「C&C」(Computer & Communication:コンピュータと通信の融合)を再度打ち出しました。
NECはスローガンにもある通信分野では、グローバルで一定のプレゼンスを確保できています。
エンタープライズ向けの通信機器では、例えばPBXなどテレフォニー市場で、グローバルで第2位のシェアを保っています。また通信事業者向けでは、例えば、NECのパソリンクはグローバルでトップシェアを維持しています。
今後のグローバル商材としても、通信事業者向け運用支援システムやクラウドなどを立ち上げており、通信の強みを生かした一貫した戦略と評価できます。
しかし、NECの海外売上高は過去4年で、約1兆3000億円から約7100億円へと低下しました。この間にパソコン、半導体などのグローバル商材から撤退しています。これを2012年度に1兆円規模にV字回復させる計画です。
通信という領域から、いたずらにぶれることなくグローバル商材の拡充と展開スピードの加速が必要でしょう。
クラウド分野でのグローバル商材では後塵を拝している富士通
富士通のグローバル商材は幅広く、IAサーバやストレージなどハードウェアに加えて、GLOVIAなどの自社製ERPパッケージソフトウェアについても海外で販売しています。
しかしクラウドサービス分野の自社グローバル商材確立では、後塵を排した状態が続いています。
富士通はクラウドサービスでは、マイクロソフトやセールスフォースドットコムとの提携を進めました。これらの提携そのものの否定はしませんが、核となるソフトウェアを他社製品に依存していては、差別化されたサービスの提供は容易ではありません。価格競争に巻き込まれるリスクも高くなっていきます。
富士通は国内のトップシステムベンダーとして、東証システムなど数多くのシステム構築実績があります。今後はクラウド分野において、富士通が国内で蓄積してきた独自ノウハウをパッケージ化し、グローバル商材として海外展開することを期待したいところです。
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