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「どうせ社長には伝わらないよ」をなくすサトーの“社内版Twitter”(2/3 ページ)

一般的に、組織の階梯を上がれば上がるほど、得られる情報は整理・集約された網羅的なものとなっていく。しかし、それだけでは現場の生の声が届かなくなる。その課題を「わずか3行」で解決する方法とは。

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ライバル企業の市場撤退情報をキャッチ

 2004年、小売店で消費税の総額(税込金額)表示が義務づけられるようになったときのこと。多くの小売店では負担が大きいとして強く反発しており、小売業やラベル関連業界では、導入先送りになるのではないかという見通しが強かった。ところが三行提報を通読していた藤田氏は、妙な動きに気付いたという。

 「間をおいて、幾つかの納期遅れの情報が入ってきていた。それは伝統的な商品であり、納期遅れが生じるのは変だと感じた。詳しく調べてみたところ、比較的小規模の小売店が差別化を狙っていち早く総額表示方式へ移行しようとしている。そこで当社は思い切って大増産を準備した。後になって、大規模小売店も駆け込みで総額表示対応を図ったため、ラベル業界の多くが期待していなかった特需をほとんど当社で吸収することができた」(藤田氏)

 また、競合他社の撤退にいち早く気づいた例もある。三行提報は記名式だから、部署や所属する営業拠点なども把握できる。あるとき、似たような書き込みが西日本の拠点から発生し、徐々に東の拠点でも同じ情報が出てくるようになった。ある大手の競合メーカーの「撤退」をにおわせる妙な動きを伝えるものだった。

 その情報が徐々に東京へ近付いてくる中、藤田氏はなんと、その大手メーカーを直接訪ねてみた。先方のトップに、「撤退をしようとしているのか」と問いただしたところ、「なぜ分かったのか」と驚かれたという。その競合メーカーは実際に撤退を決めていたのである。両社は協力し合って顧客の引き継ぎを行うことにした。ユーザーへの大きな混乱を避けることができたとのことだ。

 おそらく、現場の社員から管理職へ、そして経営層へという企業内の通常の情報の流れでは、こういった情報は埋もれてしまい、見落としていたことだろう。

 「現場から直接トップへ伝わる情報の流れを作ったことで、変化の兆しを見逃さず捉えることができた」と藤田氏は言う。

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