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「強い会社の秘訣」は「弱い日本の秘訣」の構図を見抜け生き残れない経営(2/3 ページ)

今回は、企業経営について日本経済再生や国民生活といったマクロの観点から検討してみたい。企業経営が個の最適化だけを狙いがちだが、そこには大きな落とし穴が待ち構える。

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 特集が指摘する「攻めの経営」が、日本経済再生や日本国民の幸せにつながらなければならない。しかし、企業が個別最適に走り、国が日本経済再生に無策で、マスコミが個別企業と同じ視点で論じては、事態は悪化するだけだ。国が規制緩和や法人減税など内需志向の条件を整備し、デフレ脱却施策を実行し、各企業がそのもとで努力をするところから、国内需要が喚起され、国内雇用機会が生まれ、日本経済は再生される。6月に閣議決定の「新成長戦略」にある程度の策は盛り込まれているが、具体性に乏しく、実現性に疑問が残る。

 例として、いくつかの具体策を提案しよう。

 内需拡大のために、デフレスパイラルに歯止めをかけ、労働分配率を引き上げ、人口減に対処するなど、焦眉の施策は山ほどあるが、財政負担は避けなければならない。すでに存在する莫大な潜在需要を顕在化する手法を議論するのが、内需喚起を確実にすることだと思う。潜在需要については、医療、教育、農業など多くあるが、ここでは「高齢者介護」「育児」「住宅」の3テーマに絞る。なお、「政府支出」「企業設備投資」や「家計支出」の面からの議論は、機会を改めたい。

高齢者介護需要の顕在化

1.高齢者介護市場は大きい

 65才以上の要介護高齢者は、2010年480万人、2020年644万人と推計され(エイジング総合研究センター)、一方施設介護の収容能力は、特別養護老人ホームなど政府補助が厚い施設で約92万人(「平成21年版厚生労働白書)、高価だが民間有料老人ホームで約63万人(「2005年社会福祉施設等調査結果)、これから家族の手による要介護者が300万人以上、その分介護施設の需要があると予想される。

2.施設不足の理由

 建設・運営時共80%ほどの政府補助があるのは、社会福祉法人だけ。財政難で補助が限られ、補助のない民間施設は運営費が高くなり、一般人の手が届かない。

3.対策案I 規制改革:・社会法人優遇の法制度を改正、民間業者の参入を促進する。

  • 使用しなくなった学校など公共財産を開放できる法整備。
  • 施設建設時支給される補助金用途の使途自由化など。

  対策案II 共有老人施設の建設:既存の「安心ハウス」の実績を検証し、手直し。

4.顕在化可能需要量:共有老人施設建設に数兆円、新入所者300万人で数兆円、介護から開放された家族の消費活動で数兆円、合計30兆円以上(10兆円/年)

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