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「強い会社の秘訣」は「弱い日本の秘訣」の構図を見抜け生き残れない経営(3/3 ページ)

今回は、企業経営について日本経済再生や国民生活といったマクロの観点から検討してみたい。企業経営が個の最適化だけを狙いがちだが、そこには大きな落とし穴が待ち構える。

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保育需要の顕在化

 1.保育の市場は期待できる: 保育所入所待機児童数:4万6058人(前年同月比5874人増、厚労省)、但し認可外や保育ママを含む旧定義ではさらに3万人増となる。

 2.保育の需要を阻む壁:I 1972年制定の児童福祉法は、「保育に欠ける児童」とし

て保育児童に制限、II 官による民業圧迫(・営利企業は施設整備国庫補助の対象外、・給食の自園調理、資格者配備の制限、・運営費の使途制限など)、III 幼保一元化(一本化でない)に管轄省、法律の壁

 3.対策案:I 児童福祉法など関連法案を改正し規制改革、II 民間事業者不当排除防止のための自治体情報公開・手続き簡素化、III 情報公開による利用者の保育所比較・選択可能化、IV 幼保一元化のための管轄省統合

 4.顕在化可能需要量:保育サービス需要、女性社会進出で、20〜30兆円(5兆円/年)

中古住宅流通市場の顕在化

 1.住宅流通市場の欠如:住宅市場における中古住宅流通シェア(日13.1%、米77.6%、英88.8%、総務省「住宅・土地統計調査」2003年度)

 2.国際格差の理由:

  ・日本では戸建30年で建物価値0、欧米では手を加えて評価

  ・日本では、中古住宅市場が存在しない前提で意識と蓄え成立

 3.中古住宅市場確立策

  I 良質住宅確保の規制改革:

  ・耐久性、強度などの法整備

  ・2000年制定の住宅「品質確保促進法」の強化

  ・住宅資材や広報の標準化

  II 住宅流通市場の整備:

  ・国民意識改革

  ・市場情報の開示透明化

  ・税制の改革

 4.期待できる需要量:全国に5000万戸以上、1000万円/戸として500兆円以上の住宅資産が売買・リフォームの対象となり、20兆円以上/年

 これらは、具体的施策提案の一例にすぎない。要するに、これだけの内需顕在化可能な潜在需要があるのだから、国が需要顕在化のために規制改革・法整備などの条件を徹底して整え、企業に動機付けをし、そのもとで各企業も努力をして、「成長企業」なるものが内需型・デフレスパイラル脱出型で日本経済再生に役立つようでなければ、マスコミも評論家もはやし立ててはならない。でなければ、日本を貶めることになるということだ。

著者プロフィール

増岡直二郎(ますおか なおじろう)

日立製作所、八木アンテナ、八木システムエンジニアリングを経て現在、「nao IT研究所」代表。その間経営、事業企画、製造、情報システム、営業統括、保守などの部門を経験し、IT導入にも直接かかわってきた。執筆・講演・大学非常勤講師・企業指導などで活躍中。著書に「IT導入は企業を危うくする」(洋泉社)、「迫りくる受難時代を勝ち抜くSEの条件」(洋泉社)。



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