ビジネスインテリジェンス(BI)ソフトウェアを提供する米QlikTechは9月14日、都内で記者発表会を開催し、日本法人としてクリックテック・ジャパンを同日付けで設立したと発表した。
QlikTechは7月16日に米Nasdaqに上場。上場初値は10ドル前後だったが、1カ月で2倍の20ドルに達した。来日した米QlikTechの上級副社長、レス・ボニー氏は「テクノロジー企業として、2年前のSalesforce.com以来の注目を集めている」とアピール。獲得顧客数は2010年6月時点で1万5000社に上っている。
日本法人の社長には、QlikViewの日本総代理店で、新会社と1月に統合したサイロジックの垣田正昭氏が就任した。
既に日本でも、アシックス、NTTデータ、クレディセゾンなど120社が導入しており、1企業当たりのユーザー数は数人から2800人規模にいたるまでさまざまという。
ボニー氏はIDCによるBI市場の調査結果を引き合いに出し「潜在的な購入ニーズを100とした場合に、BIソフトウェアを購入した企業は28%でしかない。つまり、残りの72%は成長機会として残っている」とBI市場と自社の成長性を強調した。
ユーザーの1社であるクレディセゾンでは、中間集計や分析パターンの設計といったシステム要件定義が不要になったため、導入やメンテナンス費用が大幅に減少したとして、垣田氏は導入効果について説明した。
QlikTechのBIソフトウェアである「QlikView」の特徴は、インメモリ技術を活用している点にある。
ディスクへのアクセスが前提の従来型BIの場合、自社が持つ数億にも上るデータを絞り込むため、必要な情報を分析して取得するための中間データとして「キューブ」を生成する必要がある。ディスクアクセスの場合、処理速度の問題で億単位のデータをいきなり参照しにいくのは現実的ではないからだ。
一方、メモリアクセスは、ディスクアクセスよりもはるかに高速であるため、中間データを作成することなく、膨大なデータを直接参照して分析できる。結果として、QlikViewでは営業担当者をはじめあらゆる業務ユーザーが好きな時に、数億のデータを直接参照して自分独自の顧客リストなどを取得できる。すべて自分の手で、試行錯誤をしながら好きなだけ探せるのは大きな利点だ。従来型BIでは、キューブ作成などを情報システム室に依頼するなどユーザー自身でデータ分析を完結できないことが多い。それが面倒になり、使わなくなってしまうケースも少なくないようだ。また、キューブも時間とともに精度が落ちるため、定期的なメンテナンスが必要になる。
BI市場において、ETLやデータウェアハウスなどを介す従来型の手法に対して、そうした仕組みを介さないインメモリ技術のBIがユーザーにとっての新たな選択肢になりそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- iPadをNotesのワークフロー対応に――いいじゃんネットが新オプション
- コクヨがiPadをビジネス利用 顧客サービスや経営効率化
- iPadやっとゲット(根来龍之)
- 目指せ、火星への有人飛行
- 【浮上せよ 日本経済】続く地盤沈下 家電評価、韓国製を下回る
- 総務省が政府の情報システム整備の検討会 3900億円の運用コスト半減目指す
- 【イチから分かる】「羽田のハブ空港化」 地方から海外旅行便利に
- 8月「戦後最も暑い夏」 84地点で観測史上最高
- ウォークマン、「悲願」のアイポッド超えへ 8月の国内販売
- 不正取引でメルシャンが社長ら処分
- 日本列島の始まりは茨城? 5億1100万年前 最古の地層と判明
- コクヨがiPadをビジネス利用 顧客サービスや経営効率化
- 休暇取得の分散、38%が賛成 日本観光協会調べ
- 部長になるには2カ国語 日電産、習得を条件に