Twitter活用の鍵――「顧客の心をつかみたいなら顧客先に行くべし」(3/4 ページ)
Twitterに代表されるソーシャルメディアが社会に強い影響を与える昨今、企業の「顧客重視」が問われるようになってきている。企業が本当に顧客の心をつかむためには、何が求められているのだろうか。
コンシューマーを取り込んだエコシステム――Earnedメディアでの場合
パートナーエコシステムは、顧客に対しさまざまな方向からアプローチしていくものだ。しかしコンシューマーの周囲には、まだほかにもメディアが存在している。本荘氏の分類でいえば、それはEarnedメディア、すなわちソーシャルWebということになる。
現在、ソーシャルWebの代表格とされるのがTwitterだ。Twitterでは、過去の情報は流れ去ってしまいがちだが、それだけリアルタイム性が高い。また文字数が限られているため詳細な記述は難しく、むしろ書いている人物の人間性が表に出てきやすいし、体験した物事や感動した出来事などの情報の方が広まりやすい。そしてフォロー/フォロワー関係を通じてユーザー同士が結びついているため、企業が参加する場合でも顧客に密着しやすい、といった特徴がある。
特に最近、Twitterは日本で急激に成長しつつある。かつてブログが登場した際にも、世界的に見て日本での流行が著しかったことが知られているが、Twitterもまたブログと同様の傾向があると考えられている。
「顧客との接点が多様化している中、顧客のところに行かない企業は衰退する。Twitterを顧客との直接対話に活用することも重要ではないか。既にTwitterを活用して消費者との直接対話を手掛けている企業はいくつもあり、その中からベストプラクティスが出てきている」(本荘氏)
その中でも特に突出した例として本荘氏が紹介したのは、米国の靴通販会社Zapposだ。なんと全社員の約3分の1がTwitterに参加しており、自社Webサイトで、それらのアカウントを紹介しているのだという。
「もともとオンラインでの靴販売は、サイズの問題などもあってやりにくい。それを、顧客にプレゼントを贈るなども可能という、非常に自由度の高いコールセンターで克服したのがZappos。そのことが感動体験につながり、ファンを集めている」(本荘氏)
Zapposは、TwitterなどのソーシャルWebを通じて顧客の感動体験を拡大再生産させることに成功しているのだと本荘氏は説明する。すなわち、感動するような体験をした人は、それを他人にも言いたくなるものであり、それを見た人も二次体験し、さらにほかの人に伝えたくなる。この好循環は、ソーシャルWebならではの展開だ。
「結果的にエモーショナル・コネクションが醸成され、顧客群がファン化していく。Zapposは、自社についてのツイートを検索して集約、そのまま自社サイトで公開している。顧客の評判に自信があるからこそできること。こうしたオープンな、そして透明化されたコミュニケーションが、好循環をさらに加速している」(本荘氏)
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