ネガティブな思考をする部下に悩む上司:ビジネスマンの悩み相談室(2/3 ページ)
暑い夏がようやく終わり、やっと秋を迎えた。秋は人事異動の季節でもあり、新しいチームでスタートをするという人もいるだろうか。
改善方法
そのような部下を抱えた場合、上司はどのように対峙すればいいのだろう。次の5点である。
1.自己責任で仕事をまかせ、現実を突きつける
2.部下を成長させるという姿勢を持つ
3.思い込みをなくす
4.強みを見つけて生かさせる
5.退場してもらう
まず、自己責任で仕事をさせてみることである。結果が付いてくることもあれば、付いて来ないこともあるが、出てきた成果に対して責任を持たせ、現実を突きつけるのである。F君のようにときには成果が出ることもあるかもしれないが、それはまれで、結果が付いて来ないことが大半である。自分の行動がチームワークに悪影響を及ぼし、悪い結果につながっている、そのことに気づかせるのである。
次に、マネジャーとして「部下を成長させる」という姿勢は上司として欠かせない。部下を成長させるという意識を持って接することで、成長させようという雰囲気が出てくるし、承認する言葉が口から出てくる。
「あの案件はよくやってくれたね。無理だと言っていたけれど、できたじゃないか」「チームをまとめ上げてくれた君のおかげだよ」
ちょっとした成果を残したときに、このような言葉をかけてあげることで、部下の考え方は驚くほど変わっていくはずである。相手を決めつけ、評価しようとすると、部下は抵抗する。上司自身からも前向きな発言は出てこないだろうし、相手も成長しなくなる。部下を決めつけるのではなく、「成長させる」という辛抱強さを持つことを意識してほしい。
三番目として、部下に思い込みをなくすことが必要である。ネガティブな思考をする人は「自分は無理だ」と思い込んでいる場合が多い。このコラムでも何度かお伝えしている「思考の枠」が影響している。「思考の枠」とは思い込みや固定観念、レッテルである。「思考の枠」でいちばん良くないのが、自分自身を決めつけることである。
「自分はこれが苦手だ」「○○はできない」自分で自分を限定してしまっている。これは脳の使い方の悪い人の典型的な例である。これを取り払う必要がある。
四番目は、部下を観察しながら「強み」を見つけて、それを生かす仕事を与えながら、成果を出す経験を積ませ、仕事のやりがいを感じてもらうことである。うまくいったのであれば「よくできたね」とその強みを承認してあげる。人間は強みを承認されるのが一番の欲求であり、嬉しく感じない人はいないはずである。
最後に、4つのことを試してみても、改善せず、ネガティブなことばかりを言い続け、周りに悪影響を与える場合には退場してもらうことである。いくら優秀な人材でも、1人でできることには限りがあるし、1人の知恵には限界がある。チームで働くことで多くの知恵が出てきて、集まった人以上の知恵が出てくるのである。チームが乱されるのであれば、多少仕事ができても退場してもらう、チームから外れてもらうしかない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.