自分はがんばっていると主張する部下に悩む上司:ビジネスマンの悩み相談室(1/4 ページ)
何かにつけて、「自分はがんばっています」と主張する部下がまわりにいないだろうか。なぜ彼らはそのような行動を取るのだろうか。今回はそのことについてお話ししたい。
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秋が深まってきたが、秋はビジネスシーズンでもあり、忙しくしている人も多いだろうか。やる気に満ちている人もいればそうでない人もいると思う。
何かにつけて、「自分はがんばっています」と主張する部下がまわりにいないだろうか。なぜ彼らはそのような行動を取るのだろうか。今回はそのことについてお話ししたい。
事例
ある銀行のK支店長は、部下のR君のことで頭を悩ましていた。
毎月初旬にその支店では支店会議を開いていた。その会議は、前月の目標を達成できたかどうかを確認するとともに、課題についても話し合うものである。
ある月の会議で、前月目標が達成できず、みんなで何が課題だったかを話し合っていた。R君に意見を求めると、次のような答えが返ってきた。
「わたしはできることはすべてやっていて、がんばっています。何も問題ないと思います」
会議が終わった後で、K支店長はR君を呼んで話をしてみた。
「R君は自分には何も問題ないと言っていたけれど、本当にそう思っているのかい?」
「わたしは言われていることはきちっとこなしていますし、やるべきことはやっています」
「新規顧客を獲得する目標があるけれど、それは達成していないようだが、それについてはどう思う?」
「新規の顧客には当たっていて、いい感触は得ています。来月にはどうにかなると思います」
別の月の会議ではR君は次のような発言をした。
「今月、わたしはすごい数値を達成しました。これは自分が頑張ったからだと思います」
K支店長は、少し独りよがりなR君をどうしたらよいか、考えあぐねていた。
相手よりも自分がやっている
ここでまずは理解してほしいことがある。それは、人は多かれ少なかれ、みな自己中心的であるということである。人は、人のやっていることより自分のやっていることをよく覚えていて、無意識のうちに相手よりも自分のほうが貢献していると考える傾向がある。
ある大学のバスケット部で試合の後に調査をしたところ、どちらのチームのどのプレーが勝敗を決めたかと質問すると、自分のチームのプレーがゲームを決定したと答える選手が圧倒的多数だったという。
自分をふり返って、次に当てはまると思うものはないだろうか。
- 自分は人一倍働いていると思う
- 自分は部下よりも優れていると思う
- 自分は頑張っているのに、部下はなかなかついてこない
- 部下は努力が足りないと思う
- 部下を頼りなく思う
- 部下に仕事を任せられない
人は自分の貢献をより高く見積もり、相手の貢献をより低く見積もるのである。人間の特性としてこれをまず理解しておくことが大切である。
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