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楽天経済圏とパーソナライズ、クロスユース戦略(3/4 ページ)

ITmediaエクゼクティブ編集部が9月14日に行った第13回ITmediaエクゼクティブフォーラムでは、楽天の景山均氏が特別講演を行った。緻密なデータ分析を基盤とした楽天の取り組みを明らかにした。

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数百の会員クラスターで的確なマーケティングを展開

 楽天は非常に厳しい個人情報保護の方針を定めており、個人情報はあくまで統計的な処理をしてこのデータベースに収めている。また、楽天スーパーDBには限られた人しかアクセスできないように厳重に管理されている。各サービスからは接続はいっさい許されていない。

 現在、この楽天スーパーDBには約7000万人の楽天会員の属性、6500万件以上の商品データが蓄積されている。それ以外にも、顧客の商品購入履歴や顧客がどのサービスを利用したかという履歴、また購入頻度によるプラチナ、ゴールド、シルバーといった顧客のランキング、楽天スーパーポイントの利用履歴なども格納されている。

 「われわれの非常に重要な仕組みとしてこれらのデータを活用している。具体的にはお客様の基本属性(デモグラフィック)や地理情報(ジオグラフィック)、行動(ビヘイビア)、心理的属性(サイコグラフィック)などを分析した上で再度この楽天スーパーDBの中に戻しておく。つまり生データと分析データを共存させている。そしてこれを各事業が提供しているさまざまなアプリケーションにこのデータを提供することで、データを活用したいろいろな取り組みが可能になっている。こうした仕組みがすでに構築されている」

 楽天スーパーDBでは、一部でそれをリコメンデーションのためのクラスターリングデータも生成。会員を数百クラスターに分類、商品を掛け合わせたリコメンドを行っている。

 「楽天スーパーDBのデータを使った会員のパーソナライズは、最初からシステム化はせず、中に入っているデータを手動で出し、さまざまなテストを行い、ある程度効果のあることが分かった時点で仕組み化してきた。さらにエンジニアとマーケッターと分析者がトライアルを重ね、パーソナライズの精度を向上させてきた」というように、データ活用については仮説、実行、検証というプロセスをきちんと押さえてきた。

 例えば、メルマガについても極力手動でクラスター分けし、その人に合った商品を配信するなどの取り組みを進めた。以前は、会員全員に同じメルマガを配信していたが、現在は顧客をクラスター分けし、クラスターごとに合った商品を勧めている。また、タイトルを変えたり、表示する商品の順番を変えたりし、またここでも検証を繰り返すことでクラスターの精度向上を図り、効率アップを実現している。

 バナーについても顧客ごとにどのようなバナーを表示するかを、セグメント化した顧客層に対して表示。その効果について景山氏は、「楽天のゴルフ予約サービスであるGORAの顧客のリテンションを目的として、GORAを過去数カ月以内に利用したことがある。直近に利用のない顧客にGORAのキャンペーンなどのバナーを露出したところ、クリック数ではそれまでのものに比べて数倍とかなり大きな効果を上げることができた」と大きな成果が上がっていることをアピールした。

 また、CRMメールということで、楽天の会員情報を基にメール配信リストを自動生成している。例えば、誕生月の会員に対してメールを送る仕組みがある。ほかにも初回購入者に対してメールを送るとか、ポイントの有効期限の通知など効果が高いことが立証されているセグメントに対し、従来は手作業で抽出していたが自動抽出が実現されている。

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