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化粧品業界に新風を吹き込み続けたい――イプサの堀社長石黒不二代の「ビジネス革新のヒントをつかめ」(1/3 ページ)

肌診断器を介した肌基点のカウンセリングを通じて、お客さまの肌に最もふさわしい化粧品を一緒に選ぶ、これは当時の化粧品業界では新鮮な販売方法。e-コマースでも「他とは違う」にこだわる。

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資生堂と違う「イプサ」を育てる

 資生堂のマーケティングは、外資系ブランドと異なり企業ブランドを前面に押し出しています。マキアージュといえば、誰もが資生堂のマキアージュと連想しますね。それは、資生堂が意識して、製品ブランドより企業ブランドを打ち出すマーケティング方針を持っているからです。これに比べて、外資系や日本メーカーでも製品ブランドを前面に押し出すところもあります。

 どちらがいいということではなく、企業の方針にすぎません。その資生堂の中で異彩を放つブランドがあります。それが「イプサ」です。イプサで資生堂を連想する人は少ないはず。資生堂は意識してこのブランドを独立化して、さらに、別法人までつくってしまいました。23年前のことです。このイプサを率いるのが、華麗なる異端児、堀 利理社長です。

 資生堂がイプサを独立させて四半世紀、市場環境もユーザーのプロフィールも変わってきています。転換期にあるイプサの成長戦略とその経営方針をお尋ねします。

創業のとき

 もうすぐ25周年を迎えるイプサですが、創業当時は、ちょうど外資系ブランドの日本市場参入期でした。参入にあたって、これら外資は巨額な宣伝費を投入する空中戦を展開し、知名度を上げ、お客さまをデパートに誘因するという手法を使っていました。国産メーカーもこれに対抗するために、強引な商売をしていました。

 そして、そんな環境下で、現在グループCEOの前田氏が、押し付けではない、カウンセリングを通じてお客様と一緒に化粧品を選ぶブランドを立ち上げたいと方針を立てます。根底にあったのは、資生堂というブランドでは会えないお客様と会いたいという思いだったそうです。資生堂のブランドイメージは、高級品、40代のもの――そのイメージは当時から変わりません。イプサは若々しさ、シャープさを持つブランドで新しいお客様を攻めたい。その思いは、今も経営の根底にあります。

 カウンセリングの場所と購買の場所を分けることでお客様がプレッシャーを感じることなく、共感して購入する仕組みを取り入れました。そしてアンチ・マスブランドを掲げて生まれたのがイプサでした。ひとりひとりのお客様に合わせて、コントロールベースとファンデーションをシャーレーの中で混ぜる。また、化粧水と乳液の機能を1本に凝縮した化粧液「メタボライザー」も、肌にぴったりのものを選べるよう8本のラインアップをそろえました。売り方も外見もマスブランドとは違うことがヒットを生み出し、1店当たり平均して月1300万円の売り上げを達成しました。

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