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化粧品業界に新風を吹き込み続けたい――イプサの堀社長石黒不二代の「ビジネス革新のヒントをつかめ」(2/3 ページ)

肌診断器を介した肌基点のカウンセリングを通じて、お客さまの肌に最もふさわしい化粧品を一緒に選ぶ、これは当時の化粧品業界では新鮮な販売方法。e-コマースでも「他とは違う」にこだわる。

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ザタイムリセット

 しかし、消費者は移り気です。10年たったら、新鮮味が薄れ、停滞がはじまろうとしていました。それまでの化粧品の定番だった淡い色から青みがかった銀色のシャープなパッケージに変えて「肌0歳」を打ち出したカスタマイズケア商品、「ザタイムリセット」が次のヒット商品になりました。2000年のことです。さらにエイジングケア商品である「オンザピーク」の投入。創業当時25〜35歳がターゲットだったユーザーを40歳代まで広げた商品でした。

そして、今

 現在、イプサはターゲットを都市部の25〜40歳代の女性としています。そのため主要都市に絞り込んでビジネスを行い、化粧品フロアを持つデパート230店中77店にコーナーを構えます。

 販路を広げず、1店1店のカウンセリングを重視するイプサは、カウンセリングを行うクルーの研修に時間をかけています。入社時の2週間の研修から始まり、2年目の検定試験に合格するとようやく正式なクルー(レシピストと呼びます)であることを証明するバッジがもらえ、その後も、本部の研修と店頭での接客を繰り返す。こうしてイプサのクルーは、カウンセリングでお客様と時間を共有すること、それを共感につなげることを学んでいきます。

e-コマースへの挑戦

 e-コマースを始めたのは10年前ですが、当時は、他社同様にビジネスとして拡張するような手立てはあまり取らず、また店頭のお客様を奪ってしまうのではというためらいがありました。しかし消費者の購買行動が変化している限り、メーカーサイドも呼応しなければ生き残れないという思いが強く、堀社長の陣頭指揮で、e-コマースに経営資源を割り振るようになりました。Webをメディアとして位置付け、2016年には国内売上の20%をe-コマースで達成するのが目標です。

 最近のリニューアルでは、店頭でのイプサらしさをWebで実現する画期的な手法も取り入れました。それが、チャットカウンセリングです。Webで商品選びに迷ったときや、肌悩みの相談をしたい時に「チャットで相談する」ボタンをクリックすると、リアルタイムにチャットで話ができる仕組みです。店頭経験を積んだクルーが画面の前で、店頭に近いコミュニケーションを実現しています。

 電話するほどでもないがちょっと聞きたい、というお客様の気持ちに応えられる、新たな接点として展開。カウンセリングは存在価値そのもの、店頭で培ったブランドの根っこの部分なので、このノウハウを生かし、他とは違うと言われたい、とは堀社長の言葉です。

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