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アジア新興国バングラデシュから見た世界と日本女流コンサルタント、アジアを歩く(3/6 ページ)

本稿では、バングラデシュの衣料品サプライヤー企業の視察から見えた現地の状況を伝えるとともに、Next11(N11)であるバングラデシュが世界をどのようにとらえ、日本をどのように見ているのかを伝える。

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現地衣料品サプライヤー企業の実力


ショールーム

 このAnnesha Style社の工場は、ISO認証を取得しており、世界を意識した取り組みを行っている。また、3つの工場に加え、フランスにも施設を構えており、2人のフランス人デザイナーを抱えている。Annesha Style社のショールームには、毎日、世界中からバイヤーが訪れ、商談が行われており、欧米の都市にあるショールームにいるのかと錯覚するほどである。

 実際、Annesha Style社の主要取引先を見ると、Pea Cock(UK)、Armand Theiry(France)、Guess(Canada/US)、Falabella(South America)、ZARA(Spain)、Next(UK)といった欧米の名立たる企業が名を連ねている。Annesha Style社のみならず、バングラデシュ企業の主要取引先は欧米企業が多く、彼らにとって、アメリカやヨーロッパは遠い存在ではない。既に、彼らはその先を視野に入れている。

 Annesha Style社が属するAnnesha Groupでは、マーケット・リサーチ・センターを自ら設立した。彼らはアメリカ、ヨーロッパだけでなく、近隣アジア諸国やイスラム圏諸国などを含む世界の市場を視野に動いており、それが既に結実しつつある段階にある。世界から認められる企業として歩を進めているのである。

 一方、欧米企業側もバングラデシュ企業を単なる生産拠点として見ているわけではない。Annesha Style社のショールームに訪れていたカナダのバイヤーやイタリアのバイヤーと話をしたが、彼らは、物を安く作らせるためではなく、良い品を適正な価格で買い求めるというスタンスであった。

 Annesha Style社の工場で働く従業員は、月にだいたい100-150ドルの賃金で、見習いレベルで40ドル程度だそうだ。オフィスワーカーは特に優秀な人材を集めており、月に2000ドルの賃金だという。これはバングラデシュの平均賃金を大きく上回るだけでなく、他社に比べても高額であるが、これが製品価格に含まれていることになる。つまり、Annesha Style社は、安さのみで勝負しようとはしていない。また、Annesha Style社に訪れるバイヤーは、安さのみを追い求めて取引をしようと考えているのではない。彼らは、あくまでも対等なビジネスとして商談に臨んでいるのである。

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