チープ:海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(1/5 ページ)
ビジネスにおいて、価格戦略というのは極めて重要です。著者である科学ジャーナリストのエレン・ラッペル・シェルは、ディスカウント業界の興味深い全体図に対する、鋭い見識を本書にまとめています。
この記事は、洋書配信サービス「エグゼクティブブックサマリー」から記事提供を受け、抜粋を掲載したものです。サービスを運営するストラテジィエレメントのコンサルタント、鬼塚俊宏氏が中心となり、独自の視点で解説します。
3分で分かる『チープ』の要点
- 消費者は格安の小型機器や衣類、食品などに夢中で、大抵の場合品質は気にしていない
- 初期のディスカウント店であるウールワースは、消費者は節約できる低価格製品と引き換えに、カスタマーサービスの特権を放棄したことを証明した
- 価格操作は、社会の財政、感情、知識に深い影響を与えている
- 低価格品を求めることにより、クラフトマンシップは軽視されている
- 低価格品を売ることで労働者の所得やライフスタイルや購買力が世界的に低迷した
- 「倹約」や「質素な生活」という言葉は、「安価」や「ディスカウント」と同義ではない
本書から学べること
- 低価格小売業はどのように発展して来たのか?
- 消費者の財布のひもを緩めるために多くの低価格小売業者が行っている、消費者を操る価格決定のテクニックとは?
- 低価格小売業者がいかにして米国および世界の経済を変えたか
- 低価格製品はどうやって隠されたコストを賄っているのか?
本書の推薦コメント
ビジネスにおいて、価格戦略というのは極めて重要です。本書を読み終えると値札や特別価格などについていままで以上に深く考えるようになるでしょう。著者自身もバーゲンが大好きだと認めており、そのため、決して説教じみたりはしていません。著者である科学ジャーナリストのエレン・ラッペル・シェルは、ディスカウント業界の興味深い全体図に対する、鋭い見識を本書にまとめています。
彼女の経済学と心理学を混ぜ合わせた優れた見識によって、産業時代から現在までのディスカウント業界の憂慮すべき姿が浮き彫りにされており、低価格文化がもたらす、経済的、政治的、環境的、そして世界的負担を追求するよう勧めています。本書を読み解くことで、改めて経済発展のバランスの重要性に気付くでしょう。ディスカウント戦略という新しい手法は、多くの富や文化を生み出しただけではなく、多くの課題も同時に抱える結果となってしまいました。この「低価格文化の代償」というテーマから学べることは大きいと思います。おもに経営者、経営幹部、経済アナリストなどの方に、大きなフレームの視点から読んで頂きたい、そんな1冊です。
「良い品をより安く!」とばかりに今、量販店、ディスカウント店と呼ばれる商品を安く販売する低価格小売業が増えています。彼らはどうやって利益を得て、そして発展してきたのでしょうか? その謎がこの書で解き明かされています。
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