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チープ海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(2/5 ページ)

ビジネスにおいて、価格戦略というのは極めて重要です。著者である科学ジャーナリストのエレン・ラッペル・シェルは、ディスカウント業界の興味深い全体図に対する、鋭い見識を本書にまとめています。

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「お客様に知らせいたします」

 『多くの消費者にとって、バーゲン品を買うことは底なしの買い物かごを持って買い物をするようなものです。バーゲン品や大幅値下げ品を探し求める行動は、しばしば、経済をコントロールしたいという消費者の深い欲望の表れだと言われています。また、お店の棚にお買い得品を大量に並べておくことは、小売店競争で勝ち点を得るための最善の方法だと思われている節があります。しかし、残念なことに、バーゲンで金銭的に得をしたと思っても、それは大抵の場合、性質の悪い錯覚なのです。

 特に米国の消費者は、低価格品に心を奪われている節がありますが、その想いは一方通行ではありません。小売業界は、いままでにない数のディスカウント・チェーン店やアウトレット・モール、1ドルショップや会員制の大型ディスカウントショップなどで顧客を獲得しようとしています。値段が大幅に引き下げられているため、消費者にとって値札に書かれている値段を理解することや、商品の価値を読み取ることは困難になっています。大抵の場合、消費者は高品質と低品質の区別を付けないか、付けることができません。そのため混乱し、価値の低い、あるいは価値があやふやな低価格のバーゲン品を大量買いしてしまうのです。

 また、いわゆるお買い得品なども、実際のところ、不当な価格が付けられている場合も少なくありません。しかし、一般消費者の低価格・低品質製品への欲求が大きくなりつつあるため、売り手にとっても正規の値段で高品質な製品を売ることが困難になっているのです』

あまりに低価格を求める顧客と、それに答えようとする売り手の間で、商品の価格と品質のバランスが崩れてしまい、顧客は無意識のうちに、購入した商品の品質には全くこだわっていないという異常な現象が起こっています。

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