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チープ海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(3/5 ページ)

ビジネスにおいて、価格戦略というのは極めて重要です。著者である科学ジャーナリストのエレン・ラッペル・シェルは、ディスカウント業界の興味深い全体図に対する、鋭い見識を本書にまとめています。

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商業における革新

 『産業革命の前、生産スピードは遅く、そのプロセスも複雑だったため、多くの製品は入手が困難でした。しかし、近代化により製品の生産はより簡便化され、費用も安くなりました。米国では、地方から都市部へ人が移り住んだことにより、消費者の製品需要に変化が現れました。人は、新しく住む都市部の住宅のための製品を求めました。

 そんな中、1875年、フィラデルフィア出身のビジネスマン、ジョン・ワナメーカーは、製品への強い要求を満たすためにデパートを創業しました。ワナメーカーは使われていない列車倉庫を店舗として構え、「1階建ての、小売業に専念した世界最大の店」として宣伝しました。店舗の立ち上げは偶然にも製造と交通のプロセスが向上した時期と重なり、店は中流から労働者階級の住人に向けた、幅広い種類の消費財を取りそろえることが出来ました。ワナメーカーのデパートの成功には、下記のような、幾つかの要因があります』

  • 大量仕入れ

大量の卸売製品を低価格で購入することによって浮いた費用を、商品の値段を下げることで顧客とシェアしました。彼はこの手法を「最低価格を付けざるを得なくさせる、いままで発見された中で最も強力な要因」と呼んでいます。

  • 低賃金

賃金の低い店員を雇っており、その数は高賃金の従業員の数を上回るものでした。

  • 年明けセール

1月に消費者を店に惹きつけるため、クリスマス後にセールを行いました。この戦略により、クリスマス休暇の後に従業員をレイオフせずにすみました。

  • 値札

「単一価格システム」を導入しました。これによって、消費者は価格が表示された小さい紙が付けられた商品の中から選んで購入するようになったのです。それより前は、店舗で価格交渉を行っていたため、より抜け目のない消費者の方が、あまり知識のない消費者よりずっと安い値段で商品を購入していました』

ここでは米国の流通業の始まりについて書かれています。ここで説明されていることは、今の流通や販売においても、大きな影響を与えている部分が多々あります。

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