日本政府も熱視線、アジア新興国市場の成長力:女流コンサルタント、アジアを歩く(3/5 ページ)
アジア新興国に対しては、日本政府や行政機関も熱い視線を注いでいる。民間企業とはとらえ方も異なるものの、日本の行政機関がアジア新興国進出をどのように考えているかを知っておくことは有効である。
JICA バングラデシュ事務所所長 戸田氏に聞く
独立行政法人 国際協力機構(JICA: Japan International Cooperation Agency)は、独立行政法人国際協力機構法(第3条)に示されている通り、開発途上地域などの経済および社会の開発もしくは復興または経済の安定に寄与することを通じて、国際協力の促進並びにわが国および国際経済社会の健全な発展に資することを目的としている。
主な取り組みとしては、グローバル化に伴って途上国が直面する多様な課題への対応、途上国の公正な成長とそれを通じた持続的な貧困削減、途上国の制度改善とそれを運用するための組織づくり・人材育成の支援、途上国における人間の安全保障の実現に向けた包括的な協力などが挙げられる。
新しい支援のアプローチ
JICAは、世界の国と地域に91の海外拠点を有しており、その内訳は、アジア22、大洋州9、北米・中南米22、アフリカ25、中東9、欧州4となっている。JICAという組織の目的を考えると、納得できる拠点の配置といえる。JICAは、ここバングラデシュに対しても、独立以来、30年以上にわたって支援をしている。わたしは、バングラデシュ事務所所長である戸田隆夫氏を訪ねた。
戸田氏は、開口一番「バングラデシュにおける支援の形が近年、変化している」と指摘した。企業の成長や発展を支援するスペースと、真に開発や支援が必要なスペースが急激に重複するようになっており、まさにWin-Winで語れる状況にあるという。バングラデシュに対する支援の在り方も、これまでのアプローチに加え、新しい価値観を持つプレーヤーと協働するという方法が確立しつつあるそうだ。
今、日本企業も含め、リスクを取ってでも果敢に挑もうとする企業や団体がバングラデシュに入ってきている。その中にはハイブリッドな考え方を持つ人々、すなわち、利益を上げることと社会に貢献することとを両立させようという人々がいる。そういう人たちと協働し、JICAとして「日本もバングラデシュも一緒に元気になっていく」アプローチを推進したいと戸田氏は話した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.