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リーダーシップは厳密に定義される――GEが実践するグローバル展開の必須項目スマートな経営のためのラウンドテーブル(1/2 ページ)

『スマートな経営のためのラウンドテーブル』の第2回で講演を行ったのは、GEキャピタルジャパンでCIOを務め、長年にわたって同社の経営陣の一員と活躍してきた松本良之氏だ。

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 大手町のアイティメディア本社において、『スマートな経営のためのラウンドテーブル』の第2回が開催された。講演を行ったのは、GEキャピタルジャパンでCIOを務め、長年にわたって同社の経営陣の一員と活躍してきた松本良之氏。「GEの考えるリーダーシップとグローバル人材戦略」と題し、世界を代表するグローバル企業のリーダーシップ論と人材戦略が語られた。

日本企業に求められるグローバル人材の育成と事例主義からの脱却


日本アイ・ビー・エム株式会社 専務執行役員 椎木茂氏

 講演に先だって挨拶に立った日本アイ・ビー・エム株式会社 専務執行役員 椎木茂氏は、同社が実施した世界の企業1541社のCEOインタビュー結果の一部を披露。日本企業の経営者の93%が、グローバルで活躍できる人材の育成を重要な経営課題として挙げているというデータを紹介した。

 また、日本と韓国のインタビュー結果の違いも紹介。リーダーの資格として「創造性」と「グローバルな思考」を挙げたのは、いずれも韓国のCEOの方が多かったというデータを示し、次のように語った。

 「日本的な事例主義から脱却し、誰もやっていないことにチャレンジすることが日本企業に求められています。世界的なグローバル企業の代表であるGEの戦略から学ぶべきことは多いはずです」(椎木氏)

GEの文化は「人材」と「実行力」、その120年は革新と規律の歴史


GEの松本氏

 続いて登壇した松本氏は、まず「This is GE」というタイトルでGEの紹介からスタート。その創業から歴史、事業領域などを紹介し、GEの文化について次のように説明した。

 「GEの文化は『人材』と『実行力』です。GEは優れた人材を育てることに注力してきました。そして、実行力があります。この2つがGEの120年間を支えてきたのです」(松本氏)

 また、GEの120年は「革新と規律の歴史」だったとして、1980年代末から全社規模で導入・実施された業務改善プログラム「ワークアウト(Work-Out)」や統計的な手法を用いて経験や感覚に基づく判断を排除し、ファクトに基づいた改善を進める「シックス・シグマ」など、GEは経営上の規律を明確に置いたうえで、各国、各事業部、各部門で様々な改革を進めていることが、実際にかかわった松本氏ならではの現実的な言葉で語られた。

 さらに、まったく異なる事業を束ねるため、組織に横ぐしを入れることに莫大なエネルギーを注いでいるとして、次のように語った。

 「映画会社から原子力発電所までやっているGEを、1つの企業体としてまとめる最も重要な要素が横ぐしです。現在は4つの横ぐしがあります。第1は運営リズム、第2はGEとしての価値観Growth Values(グロースバリューズ)の徹底、第3は人材開発と思想のトレーニング、第4は仕事のやり方・手法の統一です」(松本氏)

GEのリーダーシップの定義は法律のように決まっている

 講演のテーマである「リーダーシップ」に関しては、松本氏は次のように説明した。

「GEにおけるリーダーシップは精神論ではありません。リーダーシップの定義は法律のように厳密に決まっています」(松本氏)

 そして、リーダーシップの定義として次の4つを挙げた。

1.組織運営能力

2.専門知識・能力

3.業界知識

4.Growth Values

 この中で中心に位置するのが「Growth Values」だ。これはGEが従業員に求める価値観のことだが、これも決して抽象的なものではなく、次の5つから構成されている。

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