“社名”と“タイトル”が意味すること:ヘッドハンターの視点(1/2 ページ)
地位には権限(と、忘れちゃいけない“責任”)はついてきますが、信頼や尊敬は血の通った“人”にしかついてこないのです。
毎回わたしの記事を読んでいただいている方にはしつこいようですが、契約型エージェントは転職に興味あるなしに関らずクライアントのニーズにマッチした方を探します。
そういう人を発掘するのも大変ですが、お会いして「この人だ!」と思った人にクライアントに会ってもらえるように説得するのはまた別の意味で大変です。ほとんどの場合、クライアントが採用したい人は競合他社、少なくとも同じ業界内にいる人で、クライアント企業に対して自分なりのイメージや意見を持っています。そういった人たちを説得するためには、彼らよりもクライアントをよく知っている、または彼らの知らないクライアントの何かを知っている必要があります。
また日本人の慎重な性格でしょうか「とりあえずお会いしてみましょう」とはなかなかならず、彼らの多くはクライアントに会うことを承諾する前に山ほど質問をぶつけてきます。全部ではないにしてもある程度彼らの質問に納得の行くレベルでの回答ができないと、ヘッドハンターとして信用もしてもらえません。そのため、いただいた質問を宿題として持ち帰って調査して回答したり、何度も同じ人にお会いして説得したりすることもしばしばあります。
そして・・・・・・。難題は続きます。
自分が「この人だ!」と確信し、苦労してやっと口説いた人をクライアントに紹介しても「ん〜、ちょっと違うと思うんで会いません」などといわれることがあります。
日本企業の候補者を外資系(外国人)に紹介すると、その企業のことをよく知らないがためにこういうことは起こりがちです。その場合、なぜわたしがこの候補者は適任かをクライアントに説明し、お会いいただくように説得しなければなりません。
ある有名外資系コンサルティングファーム(A社)に中堅日系シンクタンクにいらした方(Bさん)をご紹介した時のことです。Bさんは社内でも社外でもとても評判の良い方で、昇進も早く、将来を期待され転職する理由はありませんでした。それでもなんとかアポを取り付けて都内のホテルのカフェでお会いました。話してみると評判通りの優秀な方であると同時に、相手に安心感を与える雰囲気を持った魅力的な方でした(実際、日本企業にはBさんのような優秀な方がたくさん潜んでいますが、なかなかヘッドハンターが見つけられない、お会いできないのも事実です。この話はまた別の機会に)
BさんのA社に関する印象は良くもなく悪くもなくというところでした。A社の沿革、国内外のプロジェクト事例・実績などを交えてお話し、よりグローバルな環境で自分の力を試してみてはどうかと説得しました。1時間後「なかなか面白そうですね、一度お会いしてお話を聞いてみたいです」と言ってくださいました。
わたしは自信満々でA社のリーダー(外国人のCさん)にBさんをご紹介しました。
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