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真のグローバルカンパニーを目指して――HOYAの浜田宏COO石黒不二代の「ビジネス革新のヒントをつかめ」(2/3 ページ)

日本の市場が縮小していく中、海外進出は悲願である。社員の90%近くが外国人で、50%以上が外国人株主であるHOYAの、次なるグローバル展開は。

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浜田さんがHOYAに魅かれた理由

 浜田さんの入社までの経緯は、わたしがこのインタビューを通してHOYAという会社に魅かれた理由と重なります。

 HOYAは、日本的な企業という印象がありますが、かなりグローバルスタンダードを取り入れている会社でもあります。浜田さんが入社する以前に、極めて早い段階で委員会設置会社となっていました。取締役会とは別に「指名委員会」「報酬委員会」「監査委員会」の3つの委員会を設置しています。過去20年のうちに、アメリカ的なガバナンスを取り入れました。

 社内役員3人に対し、社外役員は5人です。老舗の一部上場企業で、社外からCOOクラスが来る例はあまりありません。浜田さんの面接には、この5名の社外取締役が参席し、採用が決まりました。このように企業統治されているので、指名委員会から「浜田は駄目だ」と言われたら、今後、退くこともあるでしょう。それは、創業家一族であるCEOにもいえることなのです。

 外国人投資家が多いというのはIRグループの功績でもありますが、このような企業ガバナンスが効いた会社ということで株を保有する外国人も多いということです。IR活動は四半期ごとに直接外国人投資家にも会っています。名経営者と言われた先々代の社長が創業家のエゴを排するためにとったさまざまな方針は、ビジネススクールの題材になったりしており、今も取材の申し込みが多いゆえんです。

真のグローバル化とマーケティングが今後の鍵

 買収前のペンタックスは、海外売上高が8割近くに及び、販売のグローバル化は進んでいましたが、組織運営のグローバル化はあまりなされていませんでした。一方のHOYAは生産の海外展開は進んでいるものの、同様に人のグローバル化は事業部ごとに差異があります。浜田さんの方針は、工場や販売だけでなく、人材と組織運営をグローバル化しないと真のグローバル化とは言えないというものです。

 HOYAはもともと生産材の会社です。B2B企業なので、お客様の言うことを聞いて、いいものを作れば売れてきました。しかし、今は、ダイナミックな経済環境の中でそのお客様やお客様の作っている製品さえいついなくなるか分からない時代です。技術志向に加わえてマーケット志向を強化する、つまり市場を先読みする力をつけなくてはなりません。

 グローバル化を進められる、マーケティングマインドを持っている、過去のしがらみがないので事業の構造改革を思い切って推進できる、という3つの強みを期待されていると浜田さんは言います。

 実際に、インプリメンテーションは大胆にやる方なので、グローバル化や工場閉鎖はCEOと2人で決定し、即、実行に移します。事業部長の3分の1を外部からヘッドハントしています。カメラ、アイシティ、メディカル、ライフケアの事業部長、CIOです。そのうち半分は外国人です。国籍を問わずに世界中からプロの経営者を集めます。日本でも事業部により公用語は英語。これだけ大胆な組織再編成は、やはり、浜田さんの強みなしには進みません。マーケティングに関しては、市場のヒヤリングや分析など各部門に宿題を課して、市場を良く見る姿勢を醸成しています。

浜田さん自身は、日本はもちろんですが、米国、ヨーロッパ、アジア、中近東、中国などでも、現場に入って走り回りながら、意外なことに、工場に行ってお酒を飲んだり一緒に食事をしたりするなど、日本的に泥臭くやっているのが印象的です。

 そして、数値管理はお手のもの、KPI大好き男ですから、数値管理も徹底して行っています。

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