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【第2話】手法と枠組み内山悟志の「IT人材育成物語」第2幕(1/2 ページ)

勉強会の第1期卒業生である浅賀からIT戦略委員会の運営について相談を受けた川口は、その課題を「改革塾」の検討テーマとしてメンバーに問うことにした。「改革塾」には、社内の各部門から10人の精鋭が集結しており、毎週課題を自分達で設定して、その分析や解決策の立案を行っている。

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(お詫び:記事掲載当初、編集部の手違いにより誤って過去の内容を掲載しておりました。お詫びして訂正いたします。)

 今回のテーマは、「改革塾」で検討するテーマとして打ってつけだと川口は考えていた。確かに、これまでもあかり食品が抱えるビジネスや業務に関する課題をテーマとして検討してきたが、課題そのものも塾生達が仮説として設定したものであったため、ややリアリティに欠けると感じていた。今回のテーマは、実際に社内で起こっている問題であり、実際に検討した解決策を実行に移し、その成果を確認することができるのである。

検討のフレームワークを決める

 川口は、今回の検討テーマについて、浅賀から相談を受けた内容をその背景とともにメンバーに説明した。そして、課題として「IT戦略委員会をどのように改革すべきか」を設定し、検討の手法についてメンバーの意見を募った。これは、いつもの川口のやり方である。「改革塾」のメンバーは、最初の何回かでブレインストーミングや付箋紙を使ったカードBS法などの発散の技法、イシュ―ツリーやKJ法などの収束の技法を実習形式で学ぶ。それ以降は、課題やテーマによって、メンバーが自主的に活用する手法や検討の進め方を選んで実施することにしている。第2期のメンバーも既にこうしたチーム討議の手法を使いこなせるようになっていた。

 川口は、いきなり「○○をどう解決するか」という問い掛けを決してしない。この問題を解決するために、どのようなアプローチで検討するのかについてもメンバーに考えさせるのである。メンバーが選択した手法や進め方にもあまり口を出さないようにしている。実際に検討してみて、試行錯誤することがメンバーにとって本当の学びとなると考えているからだ。

 また、検討が終わって結論が出された後に、手法や進め方についてメンバー自身に総括させることにしている。川口は総括の時だけ、アプローチに関するコメントを残し、次回へのフィードバックを提供することにしている。

 「では、まず検討のフレームワークを決めませんか」営業部から参加している石川が発言した。

 「それでは、石川さんに今日のファシリテーターになってもらおう」という川口の促しで、石川がホワイトボードの前に立って議論を進めた。

 最初に「現状、IT戦略委員会が行き詰っている原因を洗い出してはどうだろう」という意見が出されたが、議論の末その案は却下された。

 「そうだ、打開策を考えるときは、現状の課題を洗い出すよりも、原点に立ち返る方が良いのだ」と川口は、頭の中で考えたが口には出さなかった。やがて石川の進行で議論は収束し、「IT戦略委員会の目的」と「IT戦略委員会に何を期待するか」を検討することになった。「いいぞ」と川口は心の中でつぶやいた。

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