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タイ・アパレルメーカーが重視する日本市場、そこに“日本の”優位性がある女流コンサルタント、アジアを歩く(1/4 ページ)

タイの現地アパレルメーカーの経営陣が重視する「日本市場の動向」。それは何故か? という問いから、日本企業が潜在的に有している優位性を考察し、それを生かした今後のアジア市場展開を考える。

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 前回の記事『「日本向け」が品質の裏付けになるタイ・宝石産業に学ぶ』では、タイの宝石産業を取り上げ、タイの宝石メーカーが欧米等に進出する際には、日本市場との取引が実績として評価されることをお伝えした。そして、それを踏まえると、日本市場の独自の仕様や要求、品質レベルも、新たな価値として認知されれば、差別化要素になり得ることを申し述べたわけだが、このような事例がほかにあるだろうか。

 10月1日、わたしは、前回同様セントラルグループのご紹介で、現地タイのアパレルメーカーを視察する機会を得た。もともとタイは繊維産業が盛況であったが、昨今ではもはや、単なる製造の領域だけではなく、世界輸出化を担った、企画/デザイン、製造、卸売、販売までを手掛けるアパレルメーカーが台頭している。その中でもマーケットリーダー的な存在であるLME社(LME Co.,Ltd.)が今回の訪問先である。そこでわたしは、思いがけず、日本市場の強さを感じ、それを生かせる可能性の存在を認識することになった。

周辺アジア諸国への進出に力を注ぐ、タイのアパレルメーカー

 LME社は、30年以上に渡り、タイのファッション衣料やファッションアクセサリーに携わってきた現地企業である。1000人を超える従業員を抱え、企画/デザイン、製造、卸売、販売までを手掛けており、自社の直営店のほかに、セントラルグループはもちろん、タイ全国のデパート内で600を越える店舗を展開している。女性向けカジュアルとして「ESPADA」「Ep」、男性向けカジュアルとして「LTD」、トレンディカジュアルとして「ESP」、トレンディジーンズとして「Rock press」というブランドを備えており、タイの若者からの支持を集めている。


Boonchai Kongpakpaisarn氏との対談

 また、イスラエルのトップブランドFOXのフランチャーイジーとしての事業や、Fashion TV(FTV)とのアライアンスによるF・Fashionというブランド開発など、グローバル市場での活動も活発に進めている。

 わたしは、このLME社のPresident & CEOである Boonchai Kongpakpaisarn氏のほか、マネジメント層の方々からお話を伺うことができた。まず、ざっくばらんに概況を尋ねたところ、国内市場では順調に成長を続けており、周辺アジア諸国への進出に力を注いでいるという。LME社の事業コンセプトは、5Rs+1Pというもので、「RIGHT PRODUCT、RIGHT PRICE、RIGHT QUANTITIES、RIGHT TIME、RIGHT PLACE +PEOPLE」を表しており、これを核にして、海外、特に周辺アジア諸国への進出を進めていくそうだ。

 話によると、これからのターゲットとして、フィリピン、インドネシア、シンガポール、中国、日本、ミャンマー、カンボジア、ベトナム、南アフリカといった国名が挙げられた。そのうち、すでにフィリピン、インドネシアには進出しており、次はベトナムを考えているそうだ。


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