タダ乗り経営者こそ、できることなら即刻クビにしたい:生き残れない経営(2/3 ページ)
社員でなく、経営者で「タダ乗り」を決め込む者がいるから困ったものだ。簡単にはいかないが、痛快な例もある。
ヒラメ型
これは、上記意識調査内容とイメージが直接合わないが、あえて挙げると「傲慢」「うそつき」と評価される部類だ。某大企業の専務取締役は、徹底して社長の顔色を覗った。専務は、業務よりも社長の身辺事項に力を入れた。例えば社長出張時、宿泊ホテル、配車の車種、会食、観光などに心を砕き、社長夫人同伴となると、哀れなほど気を使った。さらに彼は同じことを、自分の部下が自分に対してすることを要求した。社長は彼と接すると心地良いため、優遇した。
こういう類の役員は、業務や部下に眼を遣るより常に上目遣いのため、部下は役員から距離をとって当たらず触らず、マイペースで業務を進めるべきだ。
プライド過剰型
上記意識調査で、「傲慢」「横暴」と評価される経営者が該当するだろう。某中堅企業の取締役経理部長は、自分のプライドが価値判断基準だ。例えば、認可案件について自分のプライドを傷つけるテーマは却下、プライドを満たす案件は認可する。経理の権限を握るから、始末が悪い。接待ゴルフが得意だ。
この類の役員は、気分に左右されるのでつきあい方が難しい。特に認可案件の承認を得るときは、彼のプライドを尊重するよう細心の注意を払わなければならない。バカバカしいが、こちらの業務をスムースに進めるには止むを得ない。
一丁上がり型
上記意識調査で「気弱」に見えるタイプがその一例かもしれない。今時、このタイプは余り見かけないと思う。某中堅企業の取締役は、勤務時間中でも時々密かにPCでゲームを楽しむ。傍から見ると業務に取り組んでいるようだが、秘書がしっかり見ていた。うわさは流れるものだ。マージャン・ゴルフ・酒など遊びが大得意のお人よしの彼は、アフターファイブになると元気が出て、リーダーシップを握った。仕事では、誰も彼を相手にしない。いや、できない。
彼ら「タダ乗り」経営者に対する対策としてオーソドックスな方法は、コーポレートガバナンス機能を働かせることだ。経営者が株主の利益のために経営を行っているかを、監視する仕組みだ。経営者の業務執行状況を、取締役会、監査役会、内部監査などがモニタリングし、株主は株主総会で株主の利益に沿わない経営者を解任し新経営者を選任できる仕組みだ。しかし、巧みに生息をする「タダ乗り」経営者を摘発するのは、至難の技だ。
日常業務の中で「タダ乗り」経営者から迷惑を蒙っている配下の者たちが打てる対策は、せいぜいその種の経営者を無視し、こちらのマイペースで仕事を遂行し、こちらにとって都合の良いチャンスがあれば、その経営者の土俵上で彼らを巧みに利用することだろう。時間が過ぎて彼らが去るのを待つしかない。何故なら、部下に経営者の人事権や査定権はなく、しかも彼らは往々にして、節穴の目を持つトップからの覚えが目出度いから、コーポレートガバナンスのモニタリングの網に引っ掛けることが困難だからだ。
それに我慢がならないなら、そして「勇気」と「勝算」があるなら、冒頭の例のように反乱を起こすのが良い。
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