早稲田大学電子政府・自治体研究所は、7回目となる「早稲田大学電子政府世界ランキング2011」の調査・研究の結果を公表した。シンガポールと米国がトップ争いを演じた。
主要50カ国を対象に電子政府進捗度を調査・研究した結果、トップ15は、1位がシンガポール、以下2位以降は、米国、スウェーデン、韓国、フィンランド、日本、カナダ、エストニア、ベルギー、英国およびデンマーク、イタリア、台湾、オーストラリア、ノルウェーの順だった。
特徴をキーワードで表わすと「イノベーション」「オープン・ガバメント」「市民参加」「サイバー・セキュリティ」「新興国」「モバイル政府」「クラウド・コンピューティング」など。次世代ネットワークなどブロードバンドおよびスマートフォンをはじめ、モバイルの急速な進化も特色になった。
同時に、SNS、ブログ、Facebookなど新技術・アプリケーションの活用が、市民の行政参加を促進させる有効な双方向手段になったとしている。多くの国・地域が、深刻化するサイバー安全保障対策などe-ガバナンス(統治能力)強化とともに、中央政府と地方自冶体の密接な連携を模索している。
また、国民の利便性を重視したユビキタス型、ワンストップ型のオンラインサービスの充実がフロントオフィス分野の優先課題になっている。一方で、新興国の場合、経済繁栄の恩恵がまだ電子行政の成熟レベルに寄与していないのが現状だと分析した。
前年同様の6位を「死守」した日本について「新視点の総合電子行政のグランドデザインが必要」とコメント。プラス面では、将来への振興策として、他国に先駆けて光ファイバー敷設による大容量の情報流通が可能になる点を挙げた。逆に、2009年9月に歴史的な政権交代があり、事業仕分けを受けてIT施策の位置付けが不透明になった点と、府省の電子申請の低利活用率の事業の見直しが行われ、実績内容の再点検の必要が問われたことなどに言及している。
日本政府の課題は、電子行政の効率化の実現によって遅延気味の行財政改革のスピードアップという。少子高齢化社会の到来と複合して、人口減少時代での経済社会の大変容が目前に迫っていることにも触れた。財政破綻を未然に防ぐ大胆な行政改革と、老齢人口が急増する人口成熟化対策などを融合させ、中央と地方の連携による国民利用者側の視点で総合電子行政のグランドデザインを描かなければならないと指摘している。
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