3K、7K、24K「IT人材不評」の犯人はだれ?〜その1:生き残れない経営(1/3 ページ)
極端な例かもしれないが、IT人材不評の原因を説くひとつのヒントを示してみたい。
IT人材(予備軍)同士の興味あるやり取りが、「教えて!goo」サイトにあった。
(質問)「コンピュータ系の大学に通っている者です。ずっと思っているのですが、情報系の学生はやたらとクセのある人間が多いのです。それは良いものとは言い難く、おそらくオタクといわれる原因なのだと思いますが、自分の趣味以外にはまったく興味を示さないのです。(中略)わたしの知る範囲では、そのような人は恋愛だとか、友達とカラオケに行くだとか、そういったことをまったくしないようなのです。(中略)質問は、その人たちがどのように育ってそのような考えを持ったのかということと、「コンピュータ = そのような人」というのは言えるのかどうかということです。それからもう1つこれは別の話ですが、情報系の学生は滑舌が悪い人が多いと思うのです。(中略)決して悪口ではなく、真剣に理解したいので、よろしくお願いします」
(回答)「まあ、「=」で結ぶ気はないけど、確かに多いっちゃー多いね。そして俺個人も周りから見ればそういう類の人間だろうね。でもコンピュータもそうだけどオタク系の趣味ってさ、一人で十分楽しめるんだよ。(中略)楽しもうにも相手がいないんですから。楽しみたいのにできない。これは誰だって辛いでしょ? それだったら一人でも楽しめる方に流れますよ。(中略)滑舌だって、そりゃ一人でいること多くなればしゃべらないんだから、悪くなるしね」
これは極端な例かもしれない。しかし、ここにIT人材不評の原因を説くひとつのヒントが隠されているような気もする。
では、まずIT人材不評について考えることから始めよう。
「IT系の仕事は3K(きつい、帰れない、給料が安い)だ」は正しくない、ということがアンケート調査に表れているという論調を、IPA(注1)の「IT人材白書2010」(以下「人材白書」と略す)を根拠にして、最近多く見かける。しかし、それで安心をされては実に困るのだ。現に、求人倍率で全職業計が0.57倍に対し、IT関連職業は1.14倍もあるにもかかわらず(注2)、情報系大学卒業者2万数千人のうち、半数以上が情報系以外へ職を求めているというではないか(「人材白書」)。(注1:IPA =独立行政法人 情報処理推進機構)(注2:職業安定業務統計より、2010年10月、東京都対象)
先日、某月刊誌から「IT人材について」のインタビューを受けた。時間の関係もあり、語り尽くせないところもあったので、ここでまた取り上げてみる。
3Kはまだいい。7K(規則が厳しい、休暇が取れない、化粧が乗らない、結婚ができない)とも、24K(きりがない、休憩ができない、子供ができない、心を病む、過労死、など)とも揶揄(やゆ)される。多分に、必ずしも情報系の仕事とは限らない内容もあるが、それほど情報系は話題になるということだろう。しかし誤解もあれば、間違いのない内容もある。IT人材の状況を正しく認識することから始めて、打つ手を考えなければならない。
「人材白書」に示された2009年度のIT産業に携わる人材の満足度調査で、就業満足度に影響ある要素としての「給与」「労働時間」「職場の雰囲気」について、「給与」には不満はあるが、それ以外の2項目については半数以上が満足しているという結果が出ている(第1表)ことが、3K否定の根拠だ。しかし、「キャリアの見通しに対する不満」は気になる。
しかし、給料は業種別統計(注3)で第40位、平均年収610万円、高くも低くもない。(注3:「年収ラボサイト」、’08〜’09年度、一部上場企業有価証券報告書より集計推定)
現に、IPA調査でも給料について「将来の上昇に期待できない」53.3%、「同業他社と比べて低い」43.1%が不満の上位を占め、「他産業より水準が低い」19.1%は比率が高くない。
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