3K、7K、24K「IT人材不評」の犯人はだれ?〜その1:生き残れない経営(2/3 ページ)
極端な例かもしれないが、IT人材不評の原因を説くひとつのヒントを示してみたい。
労働時間も、第1表でも60%近くが満足しており、第2表に示すように他産業に比べて必ずしも長くない(厚労省「賃金構造基本統計調査」2008年)。
IT系の仕事が必ずしも3Kでないと言われるのは、昨今の日本経済停滞からくる仕事量によるのかもしれない。それにしても、3Kの噂がこれほど根強く、かつ情報系大学卒業生の半数以上が情報系以外に職を求めるのは、それなりの理由があるからだろう。
次のデータは、その裏づけとなる。仕事や職場環境に対する最大の不満は「社内での今後のキャリアに対する見通し」(満足32.2%、不満足67.8%)であり、給与以外の悩みや問題点で1、2位を占めるのは、「このままこの仕事を続けていていいのかどうか不安になる」(37.8%)、「将来自分がどうなるのかが見えない」(37.8%)だ。さらに自分自身について、「自分の将来のキャリアが不安」(73.1%)とかなり多くが感じている(「人材白書」)。
それは、実際の現場でヒシヒシと感ずる。ITに携わる人材にとって、ユーザー企業の場合ではCIOは1人だけの狭い道、年齢を重ねて技術進歩についていけるか、かと言ってライン業務に変わるには、偏って育っている、40歳くらいでお役御免か、若いうちの独立や転職を希望しても実際は実行困難、不満や悩みが根雪のように積もっている。IT企業でも同じだ。そういう不安や不満の要因として考えられるデータがある。
IT人材が所属企業に対して持つイメージとして、まず「会社のビジョンが不明確」と、多くが感じている(「会社のビジョンが明確である」に「当てはまる」35.3%、「当てはまらない」64.7%:「人材白書」)。さらに「必要人材を従業員に提示できず、コミュニケ−ションに欠ける」が22%以上あり、IT人材育成で事業戦略とのマッチングがなく、戦略の定義さえない企業が40%以上もある(JISA 情報サービス産業協会「2005年白書」)。
IT人材の意識のあり方、彼らの有効活用につき、企業の姿勢・経営方針が問われている。
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