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「報告の仕方は、企業人の生命をも左右する( 悲しいかな! 老婆と同レベルの管理者の話し方 )」生き残れない経営(2/3 ページ)

「報告の仕方」は部下から上司へ適用されるだけのものではない。上司から部下への指示にも、顧客に対する説明にも、幹部・経営者がさらに上に対した時にも、あるいは部下はもちろん、トップ・経営者など企業人が顧客や多数の聴衆を前にした時にも応用される手法である。

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 「伝え方」「報告の仕方」は、ともすれば企業人の生命さえも左右しかねない。筆者はこれについてかねてから強いこだわりを持ち続けているが、筆者の主張の前にこのテーマに関する2、3の識者の意見を紹介しよう。なお、「報告の仕方」は部下から上司へ適用されるだけのものではない。上司から部下への指示にも、顧客に対する説明にも、幹部・経営者がさらに上に対した時にも、あるいは部下はもちろん、トップ・経営者など企業人が顧客や多数の聴衆を前にした時にも応用される手法である。

 米国の著名な文筆家V・ハワードは、その著「説得力」(創元社、2008.1.)で3つの要素を挙げる。(1)「説得力の強さは意志次第」、 (2)「強い動機を持つこと」、「何事も、動機が強ければ強いほど成功も早い」、(3)「明確な目標をたてる」、「自分が他人から求めているものは何かを、自分ではっきり決めておく。」、……言い得て妙である。

 当たり前と言えば当たり前のことだが、「私たちの関心は、所詮、自分自身の欲望に対してであって、人の欲望にではありません。」「相手の興味に合った話題で説得すれば、失敗は少なくてすみます。」として、相手の欲望をマズローの人間欲求の5段階説からアプローチすることを薦める説もある(「できる人になるための図解話す力聞く力」高嶋幸広、PHP)。

 一方で、経験から出た大変貴重なアドバイスがある。アテネ・北京両オリンピックで、平泳ぎ2種目で連続金メダルを勝ち取った北島康介選手の名コーチ平井伯昌の言葉である(「THE21 2009.8.号)。「私はなるべく“ワンポイントで伝える”ようにしています。というのも、ポイントが複数になると、選手が混乱してしまって修正ができないからです。」「また、そのワンポイントを選ぶ際には、“問題の本質的な原因は何か”ということをよく考えます。“足が痛むので足の病気かと思っていたら、じつは本当の原因は内臓疾患だった”なんてことがありますよね。」「まずは相手の気持ちになって、どういう言い方をされたら理解しやすいか、受け入れやすいかをシミュレーションすることが大切です。」「それから、タイミングを見計らって伝えることも重要。」「試合のなかでも前日とレース直前では、伝えるべき内容も伝え方も異なります」……実に、そのまま企業人の役に立つ内容である。

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